ビンテージ処理6 [woods]
Luthier Tips du Jour Mailbag 106 - What is torrefied wood?
@OBrienGuitars
カナダのサーマルウッドという会社を紹介しています。完全に工場です。
内容をかいつまんで言うと
・木材の処理は、2インチ厚で最適化している。
・プロパンが熱源で、熱と蒸気だけで酸素を除去します。真空ではなく、圧力もかけません。処理温度は200℃。どんな種類の木材にも時間を変えることで対応する。温度が低いほどブラウンの色が明るくなる。
・プロセスには3段階ある。
1.乾燥段階
8から10%の水分を0%まで乾燥させる。温度を上げる前に水分を除かないと中の水分が逃げられなくなり、亀裂が発生する。
2.ピーク温度まで上昇させたら、3時間置く。
3.その後、150℃で4〜6%の水分を注入すると、その後、水分は中に入らなくなる。
・処理後の木材を65%RHの中に1カ月入れたが、水分は入っていかなかった。つまり、密閉されていて安定している。
・効果は、ボリュームが大きくなり、トーンが高域で歪まない。
・30年の自然乾燥と同じようなことを行っている。強度が10%失われる。
・185℃にすると色が明るくなる。処理温度が200℃を越えることはない。
色(ブラウン)は中まで同じ色になるようです。
・トリファイド処理は、フィンランドで始まり、処理温度には規定がある。どの温度で何時間するかというレシピは、知的財産が関係する。
・デッキにする木材は80時間入れる。ゆっくりとローストするのが重要。
フェンダーライクなシンプルネック構造3 [structure]
・ネックの留め方はフェンダー方式でネック側がナットで、ボディ裏からネックに向かってビスで留める方法にします。但し、ビスの頭を外側に出さないようにボディに隠すこと。
・設計・加工・調整・取り外しが簡単にできるようにする。将来、問題となるのは弦高です。これを修正するためにネックのボディに対する角度を調整できること。
・軽量化が1つのポイントなので、なるべく軽くすること。
・ハイフレットへアクセスしやすくすること。
が要求事項です。
今回もネックブロックが設計の中心になります。まず、ネックの下からビスで留めることを考えます。
ネックには鬼目ナットM6X13mmを2個埋め込みます。トラスロッドの調整穴をヘッド側にすることで、ネックのボディ側に鬼目ナットのスペースを確保します。トラスロッドの両脇のカーボンファイバーロッドはそのままネックの全体に通します。その真ん中にネックを留める鬼目ナットが入ることになります。
次にビスの頭を外側に出さないようにボディに隠すことを考えます。ビスの頭がボディの外に見えるのはクールではないので、ボディの内側に隠すことを考えます。今回はMartin oooタイプに合わせて、ボディを薄くします。
ネックブロック部全体の厚さ85mmの割り振りは、
ネック厚 27mm
ネックブロック 20mm
スペース 33mm
ネックブロックベース 5mm
と割り振ると、スペースから六角レンチを入れて締めることができそうです。
ボディ端からトランスバースブレースまでは80mm位なので、そこまでネック部材を延ばします。ボディ端からサウンドホールまでは100mmなので、20mmはフィンガーボードだけがトップ表面にでることでることになります(この辺りはOrg.#3と同じです)。
これで矛盾なく各部材のおおよその位置関係が決まりました。これから各部材の寸法を確認しながら、細部の配置をしてみます。
上の写真はBrunner-guitarsのものです。こんな感じで考えています。ボディとネックの境界をいかにうまく作るかがデザインのポイントです(ネックの穴はチルトネック調整用ですから、今回はいりません)。
フェンダーライクなシンプルネック構造2 [structure]
その中でも、Brunner-guitarsのものはデザイン(外見)が洗練されています。これもチルトネック構造になっているようです。
Youtubeを見てください。
ブレーシングもXブレースではなく、Gore GuitarsのFalcateBraceに似ています。自分で組み立てる宿泊コースも用意されているようです。
デザイン(外見)はこれを参考にしようと思います
フェンダーライクなシンプルネック構造1 [structure]
方針は、以下です。
・設計・加工・調整・取り外しが簡単にできる。
・ハイフレットへアクセスしやすくする。
モノポール周波数の設定(オリジナルギター3) [theories]
ここまでウルフトーンを避けるために、ヘルムホルツ周波数の調整、トップモノポールの調整を行ってきました。
Gore&Giletの本で中型ギター(oooタイプ)で推奨される組み合わせは、
90Hz 170Hz
95Hz 180Hz
(100Hz 190Hz)
です。
ヘルムホルツとトップモノポールの組み合わせは、
①101Hz 178Hz ブリッジピン11g トルナボス8mmを追加
②105Hz 185Hz ブリッジピン3g
②のトップモノポール周波数の185Hzは、6弦2フレット(F#:92.5Hz)の第2高調波で、そもそもNGでした。また、よく使用する6弦3フレット(G:98Hz)も多少影響を受けるので、180Hz以下にする方が良いという結果でした。
ヘルムホルツ周波数もなるべく低くした方が低音が安定するので、①がベターでした。
ヘルムホルツを下げるには、トルナボスしか選択肢はないようです。木で作り直すかは考えます(上げるにはサウンドポートを使う手があります)。
トップモノポールは、ブリッジピンの重さで逃げるか、ブレースを削るかはもう少し使用してみて考えます。
最終的に、最初に決めた周波数に落ち着いてしまったので、あまり面白みのない結果でした。
参考までに、今回使用したブリッジピンの重さ(6本の合計)は、
・ABS樹脂、ローズウッドA 3g
・ローズウッドB 4g
・真鍮 26g
です。今回は使用しませんでしたが、牛骨7g、エボニー等は5〜10g位ではないかと思います。
材質は音質に関係ありません。
ウルフトーン6 [theories]
トップモノポールを高くする調整
ブリッジピンを重くする(2本を真鍮(4.3g/本)にかえる)ことで、ウルフトーンを避けて178Hzになりました。しかしこれでは、トップモノポールモビリティが下がるため、ブリッジピンを軽くすることを試してみます。
現在の真鍮2本+ローズウッド4本の重さは11gで、最軽量のブリッジピンは3gなのでこれに替えてみます。
トップモノポールが178Hzが185Hzになりました。
この状態でトルナボスを外すと、ヘルムホルツ周波数101 Hzが105Hzになりました。
ここで、ヘルムホルツとトップモノポールの組み合わせが2種類できます。
①101Hz 178Hz ブリッジピン11g トルナボス(深さ8mm)を追加
②105Hz 185Hz ブリッジピン3g
音質からいずれかの設定を選ぼうと思います。
ウルフトーン5 [theories]
トルナボスをつけることにより、ヘルムホルツ周波数を下げることができましたが、もう少しスマートな方法がないかを確認します。スマートという意味は、ギターに本来必要ではない部品を加えないということです。要は外見上何も変わっていない方法を選ぶことができるかということです。
この方法を試してみます。
バックに重りをつけ、間接的にヘルムホルツ周波数を下げます。この方法が何故可能なのかは、ボディの共振周波数が各々がどう影響しているかを理解する必要があります。
ポスター用シリコン接着剤で硬貨をバックロワーボウト中心に固定してヘルムホルツ周波数を含むモノポール周波数の変化を見ました。
0g | 7g | 12g | 17g | ||
T(1.1)1 | Helmholtz | 101 | 100 | 100 | 99 |
T(1,1)2 | top-monopole | 178 | 177 | 175 | 173 |
T(1,1)3 | back-monopole | 222 | 214 | 206 | 201 |
バックモノポールが21Hz下がったのに対して、ヘルムホルツは2Hz程度しか下がらずほとんど効果は得られず、バックモノポール周波数を下げることで、「エア」モードの周波数を下げることはできません。また、バックがトップモノポール周波数に近くなったせいか、全体の音色(サスティーンがなくなった)変わりました。共振周波数の変更によって失われるトーンとのバランスもよく見ておく必要があります。
ウルフトーン4 [theories]
Org.#3のヘルムホルツ周波数:104Hz トップモノポール周波数:184Hzの対応をしていきます。
繰り返しますが、ウルフトーンとは弦の基音とギター自身の共振周波数が一致した時に発生する音で、弦の基音と位相が逆になるため、お互いが打ち消しあってボッというサスティーンがまったくない音になってしまうことをいいます。この対応策は、共振周波数をフレット間の中央の周波数に入れて干渉をなくすことです。
今、6弦4フレット(G#:103.8Hz)ですからヘルムホルツと完全に被っていて、ボッという音しか出ていません。このヘルムホルツ共振周波数を6弦3フレット(G:98Hz)の中央(101Hz)にシフトさせることで被りをなくします。
1.ヘルムホルツ周波数を変更できる可逆的な方法
最も簡単な方法はトルナボスをサウンドホールに嵌めて周波数を下げます。トルナボスをつけることは、スマートな方法ではないので、最終手段にはしたくありませんが、実際にどんな音色になるかを確認するために行います。
オリジナルギター3の製作中にもこれで周波数調整した(周波数は深さ0.5Hz/mmで下がる)ことがありました。この時は深いトルナボスを付けたため、ヘルムホルツ周波数は101→93Hzに下がりましたが、音圧も相対的に下がり、、高域(500Hz以上)の音圧も下がりました。トルナボスは深すぎると音の放射も下げてしまうので、最終手段としては使いたくありません。
では、具体的に進めていきます。改めてヘルムホルツ周波数を測定すると104Hz。0.4mmの厚紙でトルナボスを作りサウンドホールの内側に取り付けます。最初は深さ12mmで作りましたが、ヘルムホルツが98Hzになり下がりすぎて、6弦3フレットG(98Hz)と被ってしまったので、深さを徐々に下げていって、8mmでヘルムホルツが101Hzになり、G(98Hz)とG#(104Hz)の詰まりがほぼなくなるようになりました。この調整はかなりシビアで、どちらかに寄りすぎるとその音が詰まるようになります。ちょうど中心(101Hz)になるようにすることが重要です。
2.トップモノポール周波数を変更できる可逆的な方法
ブリッジピンの重さを変えることが最も簡単な方法です。重くなるので、周波数は0.7Hz/g下がります。トップモノポール周波数は183Hzからブリッジピン2本を真鍮(4.3g/本)にかえて178Hzになりました。ブリッジピンを重くすることは、モノポールモビリティを落とすことになるので、最終的には別の方法で対応したいと考えています。
ウルフトーン3 [theories]
オリジナルギター1を見ていきます。
Org.#1のヘルムホルツ周波数は93Hz、トップモノポール周波数は173Hzでした。しかし、オリジナルギター1を演奏していても6弦2フレット(F#:92.5Hz)の詰まりはあまり気になりません。 改めて、ヘルムホルツ周波数を確認すると、ヘルムホルツ周波数は91.8Hzと少し低くなっていますが、これが理由とは考えられません。
6弦2フレット(F#:92.5Hz)のサスティーンを周波数分析してみると、弦を弾いてからF#自身は比較的早く(4秒)落ちますが、第3高調波(277.5Hz)は6秒程度残っており、これがサスティーンを支えているため、詰まった感じがないと思われます。
比較のために、6弦3フレット(G:98Hz)を確認してみると、G自身も6秒サスティーンがあり、基音自身がサスティーンを支えていると考えられます。第3高調波もほぼ同じ程度残っています。トルナボス [structure]
「ギターのサウンドホールの内側に取り付けられたシンプルな円柱(円錐)」をいいます。
クラシック ギターのデザインで標準になっているアントニオ・デ・トーレスは、青銅製のものを積極的に使ったようです。トーレスのトルナボスは、バックに立てた短い棒で保持されており、トップとバックがつながっています。しかもトルナボスは円錐形です。トップの振動をバックがうち消してしまうような気がするのですが、どうでしょう。
これをつけることによって低音がどのように強調されているかを聞くことができます。
トルナボス(= turned voice)は「向きを変えた声」を意味し、聴衆には分かりませんが、演奏者にとってギターの音が特に静かになるという残念な効果がありました。
ナイロン弦の導入により姿を消したそうです。
筒が仕込んであるということは、低音のでるバスレフスピーカーと同じ理屈のようで、このサイトによると
・なぜか全体的に音量が増した
・弦の振動時間が長くなった しかしいわゆる”余韻”は短かくなった感じ
・音色がクリアーに(というか鋭く)なった 特にブリッジ付近で弾くと極めて顕著
ギターではなくAruHarpだそうです。
私のオリジナルギター3による経験では、明らかに音圧が落ちた気がします。
しかし、これは筒の深さを変えることでヘルムホルツ周波数をコントロールでき、スチール弦ギターでもいろいろと使い道がありそうです。但し、深すぎると音の放射量に影響がありますので、注意が必要です。
参考:
クラシックギターのトルナボスとは その効果と役割、歴史について
http://naracraftm.seesaa.net/category/7671207-1.html
https://inside-guitar.com/what-is-a-tornavoz/
https://acousticguitar.com/how-plugging-the-soundhole-affects-an-acoustic-guitars-sound/
オリジナルギター4:構想 サイドの構成 [original guitar4]
サイドの重量、剛性は音にどう効くかを考えています。全体を軽くするために、ダブルサイドは今回はしません。
サイドの機能は「重さ」(勿論、強度アップもあります)です。トップからバックに振動が伝達するには、ボックス内の空気圧力変化によるものとサイドから伝達によるものがあります。サイドの重量が重要になってきます。サイドは、トップの振動との運動量が等しくなり、その固さではなく、重いほどトップの境界が端に移り、ラウドネスと放射が大きくなり、トップのモノポール共振周波数は低くなります。
サイドを軽くする(曲げやすさを優先させて2mm以下)とサイドからの伝達が多くなり、ボディ全体が振動するようになりますが、サイドの重さによる音質への影響は、なんとも想像できないため、まず軽く作り、サイドマスを付けられる構造にしておきたいと考えています。
ライニングはどうすればよいのでしょうか? リバースカーフライニングを使用することをかんがえていましたが、全体を軽く響かせるにはどうすればよいかを考え無ければなりません。
サイドを薄くすることにより柔軟になるため、ヘルムホルツ周波数が下がる効果もあります。
オリジナルギター4:構想 バックの構成 [original guitar4]
オリジナルギター4を作るにあたって、バックをどう作るかをまとめておきます。
#4の目標は、音のレスポンスが良い、軽いサウンドをめざして、マホガニーを選択します。ターゲットは、martin 000-18 、collings 00-1 14F です。
ボディの厚さは、軽く速い反応を求めて薄くします。
ライブバックと非ライブ(硬い)バックの選択があり、ライブバックはディフューザー(拡散器)として「トーン」を与え、硬いバックはリフレクター(反射器)として「ボリューム」を与えるといわれますが、音色を重視してライブバックにします。トップより4 半音高いバックモノポールを設定します。バックレゾナンスは応答曲線の「ディップ」になりますが、高域の共振は「音色」にも寄与します。
厚さは、Gore&Gilletの方法をとり、決めていきます。
サイド・バック材に関しての今までの記事をまとめておきます。
オリジナルギター4:構想 トップの構成 [original guitar4]
トップを軽くして、モノポールモビリティを上げることを考えます。
そのために、
①トップ材、構造の見直し
Wood for Guitarsのサウンドボード用木材にもあるように、低質量のものを考えると、トリファイド処理を考えてみようと思います。この処理で確実に言えるのは、質量が下がることと粘性が下がることです。その結果、反応が速くなり、高周波のサスティーンが良くなるということだと思います。
②ブリッジ、フリッジプレート材料及び作り方
ブリッジ(ブリッジプレートを含む)はトップ材の中で最も音に影響する部材です。
トップの有効質量は70g程度といわれています。ここにブリッジ(30〜40g)が付くのですから、その軽量化も重要です。
キーワードは、「素早いアタック」ですね。
直接関係ないですが、フィンガーボード材の再考もしたいと思います。
参考とするギター:
https://www.collingsguitars.com/acoustic-guitars/001-14fret/
https://www.youtube.com/watch?v=kFgFX60e7og
ウルフトーン2 [theories]
Google Bardが日本語対応したというニュースがありましたので、「ウルフトーン」について聞いてみました。
クラシックのチェロやバイオリンを「使いこなす」ことを前提にしての答えになっています。
Q1.ウルフトーンについて説明してください。
A1.ウルフトーンとは、楽器の弦の振動と楽器の胴体の固有振動が共鳴したときに発生する、耳障りな倍音です。ウルフトーンは、特にチェロやバイオリンなどの擦弦楽器で発生しやすいです。
ウルフトーンの発生は、楽器の形状、素材、弦の張力など、様々な要因によって影響されます。ウルフトーンを完全に消すことは困難ですが、ウルフトーンの発生する周波数を特定し、それを避けるように演奏することで、ウルフトーンを軽減することができます。
ウルフトーンを軽減する方法には、次のようなものがあります。
・楽器を別の場所に置く
・楽器の弦の張力を調整する
・楽器の胴体に吸音材を貼る
・ウルフトーン・リデューサーを使用する
ウルフトーンリデューサーは、ウルフトーンの発生する周波数の共鳴を抑える装置です。ウルフトーン・リデューサーは、楽器の弦に装着する金属製の棒で、棒の長さと形状がウルフトーンの発生する周波数に合わせて調整されています。ウルフトーン・リデューサーは、楽器店やオンラインで購入することができます。
Q2.何故、ウルフトーンを完全に消すことは困難なのですか?
A2.ウルフトーンを完全に消すことは困難です。なぜなら、ウルフトーンの発生は楽器の形状、素材、弦の張力など、様々な要因によって影響を受けるからです。また、楽器の胴体の固有振動は、楽器の状態によって変化するため、ウルフトーンの発生する周波数を特定し、それを避けることは困難です。
ウルフトーンは、楽器の演奏に悪影響を及ぼす可能性のある問題です。しかし、ウルフトーンを軽減する方法はいくつかあり、ウルフトーンをうまく管理することで、楽器を快適に演奏することができます。
Q3.ギターでウルフトーンを軽減する方法を具体的に教えてください。
A3.ギターでウルフトーンを軽減する方法はいくつかあります。
弦の張力を調整する。弦の張力を緩めると、楽器の胴体が共鳴しにくくなり、ウルフトーンが軽減されます。
楽器を別の場所に置く。楽器を壁や他の固い物体の近くに置くと、楽器の胴体が共鳴しやすくなり、ウルフトーンが発生しやすくなります。楽器を柔らかい布やマットなどの上に置くと、楽器の胴体が共鳴しにくくなり、ウルフトーンが軽減されます。
ウルフトーン・リデューサーを使用する。ウルフトーン・リデューサーは、楽器の弦に装着する金属製の棒で、棒の長さと形状がウルフトーンの発生する周波数に合わせて調整されています。ウルフトーン・リデューサーは、楽器店やオンラインで購入することができます。
弾き方を変える。ウルフトーンが発生する音符を避けて弾く、または弾く強さを変えてみる。
それなりに参考になります。
ウルフトーン1 [theories]
弦の基音とギター自身の共振周波数が一致した時に発生する音で、周期的な唸りを伴い、狼の吠え声に似ていることからこういわれます。
ウルフトーンがない楽器はありません。しかし、鳴らないギターは、弱い基音と僅かの倍音しか持ちませんから、ウルフトーンも出にくく、悩まされることもありません。
フレットとフレットの間に共振周波数を持ってくれば、ウルフトーンは弱くなります。
クラシックギターでは、開放弦にぴったり合ってしまう時で、特にミ、レ、ラは実用上困るようです。
いままで3台作ってきましたが、最も気になるのは以下の2つです。
1.ヘルムホルツに6弦の2フレット(F#:92.5Hz)3フレット(G:98Hz)や4フレット(G#:104Hz)があってしまうこと
2.トップモノポールに4弦の3フレット(F:175Hz)や4フレット(F#:185Hz)があってしまうこと
それ以外で困ったことはいまのところありません。
Org.#1 93 173
Org.#2 100 182
Org.#3 104 184
Org.#1はヘルムホルツとはあまり気になりませんが、Org.#3が両方被っています。これに対応していきます。
オリジナルギター4:構想 共振周波数の目標 [original guitar4]
基本となるヘルムホルツ周波数とトップモノポール周波数のペアは、
①90Hz 170Hz
②95Hz 180Hz
③100Hz 190Hz
のいずれかに設定します。これはこの本からの引用です。
参考となるのは、サイド&バックにアフリカンマホガニーを使ったオリジナルギター1で、ヘルムホルツ周波数 T(1,1)1=94Hz トップモノポール T(1,1)2=173Hz バックモノポールT(1,1)3=225Hz (T(1,1)2の4半音上)でした。
今回はボディを薄くする(壁が柔軟にするのでヘルムホルツが下がるが、ボディ厚を薄くするのでヘルムホルツが上がる)ため、今までの経験により①と②は無理だと思います。
6弦の3フレット(=G)は98Hz、4フレットのG#は103.8Hzなのでこの中間にします。よって目標は③にします。バックのモノポール周波数も4半音上で自動的に240Hzに決まります。
クロスダイポールとロングダイポールが近いので、Xブレースを少し閉じ気味にしてクロスを下げる(320Hz以下)ようにしたいと思います。
参考までに、ネットで分析されていたYAMAHA LS36の共振特性を見ると、トップ共振周波数は、107Hz, 205Hz, 371Hz, 441Hzなので、小型ギターとはいえ、かなり高い設定になっているといえます(ここではトップの振動を直接ピックアップで拾っているので、マイクで音圧を拾う私の方法とは正確には比べられませんが、周波数に比較はできると思います)。
Hermholtz 100Hz
top-monopole 190Hz
back-monopole 240Hz
crossdipole 320Hz
longdipole 390Hz
というのが、目標共振周波数です。
①サイドを比較的柔軟にしてヘルムホルツを低く抑える。
②Xブレースを少し閉じ気味にしてクロスダイポールを下げる(320Hz以下)
ことができるかが今回のポイントです。
オリジナルギター4:構想 木の選定と主なスペック [original guitar4]
2020年に発表されたCollings 001 14F traditional があります。
シトカスプルースTOP
ホンジュラスマホガニーS&B
ホンジュラスマホガニーネック
エボニー指板
632mmスケール
のスペックは合わせようと思います。
エボニーブリッジ ⇒ 軽量なもの(ブリッジプレートも軽量化)
44.5mmナット ⇒ 43.5mm
ウェバリーペグ ⇒ ロトマチックタイプ
ニトロセルロースラッカー ⇒ 水性ウレタンニス
接着は膠(ニカワ) ⇒ タイトボンド
は変えていこうと思います。
Bill Collingsは、運ばれてくるギターを修理しながら
・パワフルで音量もあり、100年持つ
・ちょっと弾くだけで、素早いアタックとキラキラした輝きを持ったもの
を考えていたそうです。
キーワードは、「素早いアタック」ですね。
Aged Tone Adirondack Spruce by Dana Bourgeois [woods]
Bourgeois Guitars の工場でのTop材を選定している時の映像です。板でこんな音がするんですね。音が高いのは厚いからでしょうか、それとも粘性が減って高音の伸びがあるからでしょうか。
以前、Guitar Top Voicing Demonstration by Dana Bourgeoisでトップが異様にいい音がしたのでこれは何か別次元の物だと思っていました。
Aged Wood とあるので、自然に年を経た古材で枯れているのでしょう。
この音を聞くと、ビンテージ処理した材を使いたくなりますね。
音階と周波数の関係 [voicing]
ちょっとしたTipsの1つです。
ギターの構想を練ったり、設計や組み立ての日記には、Google Spreadsheetを使っていますが、その最後のページには音階と周波数の対照表を載せておきます。
構想するとき、設計している時、測定している時など常に音階と周波数がどうなっているかを確認する必要があるので、こうしています。
オリジナルギター1: 3弦がまた切れた! [maintenance]
弦を張ってから約4ヶ月経っているので、新しい弦に張り替えますが、Elixir NANOWEBの特徴を整理しておきたいと思います。
・煌びやかな音が長い期間続く。音は2ヶ月は持つ。ダッダリオは、煌びやかな音は抑えられていて、ギター本来の音がするが、早くへたる。
・1ヶ月程度経つとコーティング樹脂が剥がれてきて、鳴りが極端に落ちる。
ピックや爪があたる部分のコーティング樹脂が接がれている。特に4弦、5弦の剥がれが激しい。
よく押さえる4弦、5弦のコーティング樹脂の2フレット、3フレット部分が剥がれて、汚れがこびりついている。
コーティング樹脂が剥がれる、この辺りが交換時期かもしれません。
・ダッダリオと比較すると、同じゲージだが少し細く感じる。その分、よく鳴ると思われる。弾いた時の振幅が大きいので、フィンガーピッキングには向いていない(これは個人の好みかも知れない)。