オリジナルギター4に向けての塗装7 -ウレタンニスについて新情報- [finish]
ヤイリギターでは、ウレタンニスで塗装をした上に上塗りとしてラッカー塗装を行うそうです。この動画でも言っています。
やはり、「出来上がり時のキラキラ感」を大事にしているのでしょうね。でも、表面の塗膜自体はラッカーなので、ゴムには弱いかも。
オリジナルギター4に向けての塗装6 -ウレタンニスまとめ- [finish]
今までの経験、テスト使用、メーカーへの質問などから得た情報をまとめておきます。
・ウレタンニスに限らず、塗膜の厚さは100〜200μmが普通。
・出来上がり時のキラキラ感はラッカーが優れている。これがラッカーに劣る。
・耐久性(ゴム)やひび割れなどの経年変化はラッカーよりも優れている。
・完全硬化には1週間程度かかる。
・油性でも表面に荷重が掛かると痕が残る可能性がある。
・油性でも軟質塩ビ等柔軟性を持たせる可塑剤を含んだプラスチックと長期間接触すると、この可塑剤の移行により引っ付くことがある。
・エマルション系塗料は、多少の粘着性が残る場合がある。
オリジナルギター4に向けての塗装5 -スプレー油性ウレタンニス2- [finish]
このカンペハピオの透明ニスを使って工程を決めて試します。
乾燥約2時間(塗り重ねる時は4時間以上)@20℃
・最初は捨て塗り
・3時間程度乾燥させる。
・#400でサンディング
・水拭きで削り粉を完全にとった後、木地が安定したところで、本塗り。
・1回目:スプレーで吹き付けるが、近すぎたため泡が立ってしまう。
この泡を指で潰して整える。
・3時間程度乾燥させる。
・2回目:スプレーで吹き付ける。
1回目の泡でできた凸凹が消しきれない。
・3時間程度乾燥させる。
・3回目:スプレーで吹き付ける。
・3時間程度乾燥させる。
・4回目:スプレーで吹き付ける。
木地感は無くなる。ブックマッチ後の境目も埋まる。
・3時間程度乾燥させる。
・水研ぎ用サンディングペーパーで #800⇒#1000⇒#2000 と水研ぎ。
・ポリッシング(光陽社ヨゴレ落としコンパウンド)
・ポリッシング(ワシン研磨剤コンパウンド白極細目)
<ポイント>
・ポリッシングすると1回目の泡の跡が浮き出てくる。これはどうやっても取れなかった。
⇒スプレー1回毎にサンディングして表面性を保つ、または、スプレーではなく刷毛で塗る。・4回塗ると木地感がなくなり、塗装厚がしっかりとできる。厚さ(薄黄色い部分)は0.15mm。
・ポリッシング後の塗膜をコルク面に押し付けて置いたところ、ポリッシング面が凸凹になってしまった。これは完全に硬化していないと思われる。
⇒水研ぎ前に1ヶ月程度時間を置いた方が良い。
メーカーに聞いたところ、水性ウレタン着色ニスの乾燥塗膜より油性ウレタン着色ニススプレーの方が少し硬い(使用原料からの推測)そうです。
オリジナルギター4に向けての塗装4 -スプレー油性ウレタンニス1- [finish]
水性ウレタンニスで十分なのですが、最終的なサラサラ感は油性の方が勝ります。また、塗膜も硬度も高そうです。オリジナルギター1で使ったもの(油性ウレタンニス透明クリア 和信ペイント)は、琥珀色になってしまうので、トップには使えません。
刷毛塗りはやめて、スプレータイプを試しました。
油性 屋内外・木部用 ウレタンニ(左)ス サンデーペイント(右)
シトカスプルース(トップ)の切れ端でテストしました。3時間置いて2回塗布しました。1回目、2回目ともまだ表面に木地感があります。やはり、完全な透明ではなく、琥珀色になってしまいます。
油性ウレタン着色ニス とうめい(つやあり) カンペハピオ(左)
エンゲルマンスプルース(トップ)の切れ端でテストしました。2時間置いて2回塗布しました。1回目、2回目ともまだ表面に木地感があります。これは透明になり、木地色が生かせます。20℃:約2時間(塗り重ねる時は4時間以上)
スプレー缶のtipを1つ。詰まり止めの方法です。1弦(0.11inch=0.28mm)をノズルの口に入れておけば噴出口の詰まりは防げます。
参考ページ:使用途中のスプレー口をどうしておく?
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/5428609.html
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/1270663.html?from=recommend&ad=m1_1&p=1&q=o
この透明ニスを使って工程を組んで試します。
オリジナルギター4に向けての塗装3 -油性、水性ウレタンニス1液、2液の違い- [finish]
塗膜の強さ(耐久性)は、
油性>水性2液>水性1液
ということらしいです。
扱い性(塗りやすさ、臭い等)を考えたら圧倒的に水性ウレタン1液なのですが、完成時のサラサラ感や塗膜の硬さを考え、水性2液性や油性も改めてテストしてみようと考えています。
そもそも塗料は床などに塗った時の耐久性を考えているわけで、塗膜が強いかどうか、硬化時間が短いかを重視しています。2液は硬化剤を添加しなければならず、扱いにくいので、強度や耐久性が求められるフローリングや、塗布後の使用まで硬化時間を短くできるという、それ相当のメリットがあると考えていましたが、さらに下地との密着性に優れているそうです。
油性1液タイプは琥珀色の仕上がりになりますが、2液タイプは完全にクリアな仕上がりになり、硬化収縮があるので、必ずプライマーを塗布する必要があるそうです。
ギターの塗装としては、なるべく塗膜を薄くして、硬さを保つことだと考えています。
塗膜の強さや木地への食いつきを考えたら、油性か水性2液を使うのが良いようです。
オリジナルギター4に向けての塗装2 -水性ウレタンニスの工程- [finish]
次機種(オリジナルギター4)に向けての工程を計画します。
ネックはマホガニー、トップはシトカスプルース、サイド・バックはホンジュラスマホガニーを考えています。トップ、バック・サイド、ネックに分けて考えます。トップとネックは、Org.#2、#3と同じです。
1.トップ
・塗装段階ではありませんが、#120⇒#180⇒#240⇒#400と段階的に整えます。これが最も大事といっても過言ではありません。
・スプルースの場合は、導管が少ないので、Z-Poxyは使用しません。水性サンディングシーラーを使用すれば、スプルース表面の伸びが良いので、次に塗るウレタンニスの食いつきを良くします。サンディング後、「水拭き」を忘れないようにします。トップはスプルースで明るく、白いのでサンディングシーラーが残るとその部分がより白く目立ってしまいます。
・その後、5回塗布(10分間隔)後、次の日、#600サンディング(空研ぎ)、これを5回繰り返します。
・この後、水研ぎに入るわけですが、ヒケをとるために1ヶ月置きます。
・水研ぎに入ります。#800⇒#1000⇒#2000まで繰り返し行います。
・コンパウンドポリッシング(光陽社ヨゴレ落としコンパウンド、
ワシン研磨剤コンパウンド白極細目)を行います。
2.バック・サイド
・塗装段階ではありませんが、サンディングで平面性を整えます。前回のOrg.#3では、サイドは上手くできたのですが、バックのサンディング不足(#120~#240が足りなかった)で後で導管部分にヒケが出てしまいました。#120⇒#180⇒#240⇒#400と段階的に整えます。
・マホガニーですが、導管を完全になくす前提で、下塗りにZ-poxyをつかいます。
・下塗りに水性サンディングシーラーを塗ります。これは、後で塗るウレタンニスの食いつきを良くします。サンディングシーラーは水でのばす必要はありません。
・その後、5回塗布(10分間隔)後、次の日、#600サンディング(空研ぎ)、これを5回繰り返します。
・この後、水研ぎに入るわけですが、ヒケをとるために1ヶ月置きます。
・水研ぎに入ります。#800⇒#1000⇒#2000まで繰り返し行います。
・コンパウンドポリッシング(光陽社ヨゴレ落としコンパウンド、
ワシン研磨剤コンパウンド白極細目)を行います。
3.ネック
トップと同じ工程順です。トップに比べて、ネックは塗膜の厚さをより厚くしても良いかもしれません。
オリジナルギター4に向けての塗装1 -水性ウレタンニス- [finish]
今までの3台にウレタンニスを使ってきました。
Org.#1 油性ウレタンニス
Org.#2 水性ウレタンニス
Org.#3 水性ウレタンニス
水性ウレタンニスを使った理由は、ギターの塗装は一般にラッカーまたはシェラックニスが多いのですが、この2つには致命的な欠点があるからです。
オリジナルギター1で使用した油性ウレタンニスは、出来上がりは良いのですが、
①透明といっても、トップが琥珀色になってしまう。
②トルエンが臭く、室内ではできない。
ので、水性ウレタンニスに切り替えました。
水性ウレタンニスは、感覚的には絵具を水で溶く感じで塗ることができます。但し、1分位で乾き始めるので、その間に塗り終える必要があります。乾いた後は水には溶けません。
塗り方自体は、ここが参考になります。しかし、アコースティックギターに使用した例が少なく、オリジナルギター2の塗装をする前に端材でのテストをやってみて、自分の目で確かめました。
出来上がり時のキラキラ感は、ラッカーが優れています。これだけがラッカーに劣ることです。しかし、これは最後のバフ掛けをしなかったせいかもしれません。耐久性(ゴム)やひび割れなどの経年変化はラッカーやシェラックニスよりも優れています。塗布する環境は、臭いもなく、普通の部屋でできるので、アマチュア製作家にはお勧めです。
2台やっての長所・短所をまとめると、
1.2(ニス):1(水)位に希釈したほうが塗りやすくなりますが、これ以上薄めると塗膜に厚みが出せなくなります。
2.Z-poxyの下塗りは、導管を埋めるのに使えるが、削り取るのが大変です。ローズウッド系の導管が深いものは、サンディングシーラーでは埋まりませんから、これを使う必要があります。
3.マホガニーであれば、水性サンディングシーラーと水性ニスでほぼ導管が埋まります(完全に埋めるにはZ-poxyを使用したほうが良いかもしれません)。
4.水性ウレタン塗料は、乾きが速い。10分でほぼ乾燥する。しかし、1分位の間ならば修正塗り(重ね塗り)できます。完全に乾くには90分かかるので、一昼夜おく。
5.さらに長期的なことを言うと、塗ってから1ケ月以内はしっとりとしています。べとつくまではいきません。1ケ月程度で塗膜自体にヒケ(導管の穴が露出したり、ブックマッチした貼り合わせ部に線状に凹んで筋が入る)が出るので、最終的な磨き(水研ぎ以降)は1カ月位置いた方が良いと思います。完全乾燥する(しっとり感がなくなる)までに、3ケ月程度かかります。
6.塗るにはスポンジ刷毛を使います。直ぐに乾燥するので、1回塗ったら直ぐに水洗いします。
7.スポンジで塗っても、塗り方向に筋が残ります。この痕をとるにはサンドペーパー#800(空研ぎ)では取り切れないので、#400(空研ぎ)が必要になります。
8.2〜3回塗るだけでは、塗膜が薄すぎてサンディングすると生地が出てしまうので、5回程度塗り重ねます。
9.空研ぎは#600まで、それ以上は水研ぎにします。番手の大きい(細かい)サンドペーパーは擦り過ぎると塗膜がはがれるので、水研ぎをします。その時に、中性洗剤を2,3滴加えるとサンドペーパーの目詰まりが少なくなります。
10.塗装は、行う前に工程をきちっと作ってその通りにやることが大事です。
コンパウンドポリッシング [finish]
話は前後しますが、サイドとバック接続部に隙間があるとコンパウンドが入ってしまいます。磨く前に隙間を埋めることが大事です。
この対策は、下塗り前にローズウッドの粉にタイトボンドで練ったパテで補修します。
まず、サイド、バックのサンディングの時に出る粉をとっておきます。なるべく細かなものが適しています。それをタイトボンドで混ぜてパテを作ります。タイトボンドが多すぎると仕上がりが白くなりすぎるので、タイトボンドの量は必要最低限にします。
これをサイドとバックの隙間に塗り込みます。塗料は乾燥するとヒケが出るので、少しの隙間にもしっかりと塗り込むことが大切です。
オリジナルギター2では、バック、サイドは導管が完全に埋まっていません。スプルースとマホガニーはサンディングシーラーと水性ウレタンニスで埋まりましたが、ローズウッドは完全には埋まりません。完全に埋めるにはZ-POXYのような下塗り材が必要です。
オリジナルギター3では、サイドはZ-POXYを下塗りしたので、木管は埋まりました。
バックにもZ-POXYを下塗りしたのですが、サンディングを#120からやらずに#240からやったので、深い木管が埋まらずに残ってしまいました。水研ぎ、コンパウンドポリッシングを行うともう少し目立たなくなりますが、完全には埋まりません。サンディングをしっかりやることが大事です。
水性ウレタン塗装の不具合点と対策です。
1.これは不具合といえるかどうかですが、トップにはサンディングシーラーを使わない方が良いかもしれません。シーラーが残るとわずかに白くなり、木目が少しくすんで見えます。
2.トップ:ロゼッタ周辺に溝ができ、埋めるのが大変です。これは全体の塗装前に使用する塗料を使って埋めておくしかありません。
3.サイドのエッジ部分に木地が露出しやすい。サイドは音と直接関係ないので、塗りを厚くする必要があります。
4.トップ、バックは、#800の水研ぎでやりすぎたため、木地の露出が多発しました。塗りの回数を2倍くらいに増やす必要がありそうです。
水性ウレタンニスのまとめ
1.耐環境性がある。
2.短時間で乾き、扱いやすい。
3.匂いがなく、塗装設備が不要で生活空間でできる。
4.透明だが、光沢感はラッカーに比べると落ちる。
個人製作のギターでは、扱いやすくベストです。
水研ぎ [finish]
#800 → #1000 → #2000の耐水性紙やすりで順に磨きます。
サンディングブロックに巻きつけて水に浸してサンディングします。
水に数滴中性洗剤を混ぜて行うとスムーズにできます。
#800 → #1000 → #2000 と番手を上げていきますが、塗装膜が薄いので平面度を確認出来たら、次の番手に進めたほうが良いです。
今回は、トップ、バック、サイド共#800でやり過ぎました。そのため、木地露出が続出しました。
トップ(ロゼッタ部分除く)とバックは平らなため問題は発生しにくいのですが、サイドはもっと厚く塗った方が正解でした。曲面が多い分塗装が難しいです。音に直接関係ないのでしっかりと塗装することが必要です。
ボディ塗装 [finish]
・木地調整とサンディング
・サンディングシーラー
・水性ウレタンニス
・水研ぎ
・コンパウンドポリッシング
の5工程を行います。
木地調整(ヤスリがけ)が終わり、サンディングシーラーによる下塗りを行い、水性ウレタンニスを塗っていきます。
そのまま塗ると粘度が高く、塗りにくくムラになるので、水で2(ニス):1(水)に希釈して使用します。
塗って20~30分程度乾かすことを5回(トップは厚塗りにならないよう様子をみながら、3回)繰り返し、1日乾かして#600でサンディング。これを3回繰り返します。(3回目は、次に水研ぎがあるので、#600でサンディングしていません。)
塗布するには、ハンディ・クラウン スポンジブラシ 2インチを使いました。スポンジ刷毛の塗り方で注意することは、泡が出やすいことです。
表面に泡が多くたまりすぎることもあります。はじめに全体を塗りつぶしてから、木目方向に一気に塗ることが泡を抑えるコツです。
速乾性(数分で表面が乾く)の塗料なので、希釈液を作っておき、1回分を皿に出して使い切ります。スポンジ刷毛も1回ごとに水で洗って使います。
サンディングシーラー+水性ウレタンニスでは、バック、サイドは導管が完全には埋まりません。トップ(スプルース)とネック(マホガニー)は、埋まります。
<参考になったページ>
ステインと水性ウレタンニスの塗り方
ギターを水性ウレタンニスでリフィニッシュする