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Caldersmith Papers [papers]

Australian/New Zealand Luthiers Forumを見ていたら、見つけました。


「Caldersmithは、弦楽器の音響に関する世界有数の研究者の 1 人でもあり、優れた実践的スキルを組み合わせ、最高級のクラシック ギターとヴァイオリンの製作家でもありました。 200 台以上のギター、116 台のバイオリン、60 台のビオラ、38 台のチェロが作られ、それらの多くにオーストラリア材が使用されました。

 数年前にあまりにも早く亡くなりましたが、彼の研究は世界的に高く評価されており、楽器の音響に関する複雑なアイデアを、理解しやすいように説明してあります。この本は、1970 年代後半から 2000 年代前半に書かれた 33 の記事をまとめたものです。ギターとバイオリンの音響に関する彼のさまざまな著作をすべて 1 つのボリュームにまとめてあります。」


Caldersmith Papers は、ギターとバイオリンがどのように機能し、音楽的な音を出すかについての生涯にわたる研究です。 


日本でも購入できるようです。

The Caldersmith Papers: Writings on Guitar and Violin Acoustics ペーパーバック – 2022/7/1


ホームページ

https://www.grahamcaldersmith.com.au/


製作したギター

Graham Caldersmith lattice concert guitar demo Gran Vals

Review Graham Caldersmith No 105 2016

Comparison Graham Caldersmith 2016 #105 versus Ramirez 1a 2005

Luthier Graham Caldersmith concert model No 110

Comparison Graham Caldersmith 110 versus José Ramirez 1a

Detailed review of Graham Caldersmith No 111 2019

Detailed review Graham Caldersmith 2019 No 113


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SOFTWARE BASED ACOUSTIC GUITAR SIMULATION BY MEANS OF ITS IMPULSE RESPONSE [papers]

SOFTWARE BASED ACOUSTIC GUITAR SIMULATION BY MEANS OF ITS IMPULSE RESPONSE


MIGUEL ROMÁ, LUIS GONZÁLEZ, AND FRANCISCO BRIONES

Group of Signals, Systems and Telecommunication (SST), University of Alicante, Spain

miguel.roma@ua.es


アコースティックギターをライブで音質を低下せずに増幅する方法を提案しています。


通常、ピエゾマイクを使用する方法は、実際のセットアップは簡単ですが、音響放射エネルギーがマイクによって拾われないため、音質が低下します。そこで、ピエゾピックアップからの入力とアコースティックギターの音響放射のインパルス応答とのリアルタイムの畳み込みにより、音質を取り戻します。


アコースティックギターのインパルス応答は、DMLシステムエキサイター(スピーカー)をブリッジ下にセットしてサウンドボードをMLS信号(インパルス応答を取得するための信号)で励起して、コンデンサーマイクロフォンでギターボディからの放射を拾うことで得ます。


従来のマイクロフォン技術による録音とピエゾピックアップのインパルス応答との畳み込みを比較して、いくつかのテストで、後者は、ピエゾピックアップの直接増幅よりも自然に聞こえます。しかし、ギターの実際の音と比較すると、高周波成分が明らかに欠如しています。おそらく弦の直接放射成分が含まれていないことによるとしています。これは今後チェックする必要があります。


さらに、いろいろなギターのインパルス応答ライブラリを作成すると高品質のギターと低品質のギターを演奏するサウンドを得ることができるようになります。


という内容ですが、「一種のイコライザー」ということになるのでしょう。


1つ気になるのが、DMLシステムエキサイター自信の周波数特性はどうなっているかということです。また、この取り付け方法と位置も気になります。これ自身の位置と重さがギターのインパルス応答に影響しているのではないでしょうか。


あるギターとまるで一緒の音を再現しようとすると、もっと別な補正も必要になると考えられます。

 

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音響機器測定の進歩とシステム設計 [papers]

ADVANCES IN ACOUSTIC INSTRUMENT MEASUREMENTS AND SYSTEM DESIGN

L. Ausiello, Solent University Southampton

V. Hockey Official Martin & Co. Repairs, vincehockey@talktalk.net, Southampton

 

Proceedings of the Institute of Acoustics Vol.42. Pt.3. 2020


音響機器測定の進歩とシステム設計

この論文では、製作したアコースティックギターのインパルス応答(IR)を収集するためのサインスイープベースの測定装置を使って、ギターを分解してその前後で周波数特性に変化があるかを見ています。

・弦の張力がサウンドボードに与える影響

・ニス(ポリウレタンラッカー)有無

・ギター本体からバックを取った(ヘルムホルツ周波数の有無)

・Xブレースシステムの上側のトーンバーの有無

・ブレースの重量とプロファイル

・バックの周波数応答

・バックのブレースパターンの変更

「調査結果は、このアプローチが成熟しており、響板の望ましい周波数応答を達成するために、FEMシミュレーション、コンピューター支援機械加工、および追加の製造と組み合わせられる」

「この方法で収集された応答は聴覚化と創造的な目的に使用できるため、ギターメーカーとプレーヤーのコミュニティは、定量的データをプレーヤーの好みと関連付けるという難しいタスクを進めることができる」と言っていますが、まだインパルス応答の測定システムをつくったという域を出ていないので、測定されたデータをどう解釈するか、今後どう改良していくが課題だと思います。


Vice Hockey さんは、著名なGuitar builderです。話は本題とズレますが、分解に使用されたギターの周波数特性のトップモノポール周波数より低い180Hzがバックのモノポール周波数だとしたら、少し珍しいギターだと思います。


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Guitar Acoustics [papers]

Guitar Acoustics


オーストラリア・シドニーにあるThe University New South Wales :Emeritus Professor Joe Wolfeのサイトです。Industrial collaborator: Gilet Guitars とありますから、Gore &Gilet の本の著者が協力しているということでしょう。


その名の通り、ギターの音響に関すること全般が述べられています。


音響学の基礎的な内容から、クラドニパターン、有限要素モデルによるバーチャルギターが紹介されています。


さらにギターに限らず楽器の音響学に関することも載っています。こういった研究は、ヨーロッパやオーストラリアの大学で盛んです。


実際にギター製作を始めると湧いてくる様々な疑問を解くのに参考になるサイトです。


製作に関する情報源としては、Acousticguitar forumAustralian/New Zealand Luthiers Forum参考になります。


ということで、さらにいろいろな記事や論文を紹介していきたいと思います。




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バックとサイドの機能は何ですか? [papers]

オリジナルギター3の構想を開始しています。そのために色々な情報を調べていますが、バック・サイドの機能に関する記事がありましたので、紹介します。

以下、和訳&要約してあります。全文を見たい方はリンクよりご覧ください。

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What is the Function of the Back & Sides?
by Trevor Gore & Alan Carruth

(これらは、この質問に対するアコースティックギターフォーラム からの引用です。 バックとサイドは実際に何をしているのですか? 動いているのですか?  サイドは動くのですか?  バックだけですか? サウンドボードは?)

Trevor Gore:
ギターの動きはとても複雑です。
まず、弦が振動すると、ブリッジに力が加わり、水たまりを横切る波のように、トップに伝わり、エッジに当たると、トップとサイドの間のインピーダンス不整合に応じて、ほとんどが反射して、一部はサイドに伝わります。特定の周波数で、トップに定在波を生成します。
トップはこれらの周波数で上下しているように見え、これらの異なる形態は振動モードと呼ばれます(これらはクラドニパターンで視覚化できます)。その結果、周波数応答曲線にピーク(共振周波数)と谷が生じます 。

トップのさまざまな部分が、ギター内部の空気を刺激します。モノポールモードの振動では、閉じ込められた空気は、トップの動きに伴って圧力が増減し、特定の周波数で空気の空洞が共鳴します (空気がサウンド ホールから出入りします)。

これは、サウンド ホールから実質的に放射される唯一の低域の周波数です。他の周波数では、ギターの内部で音波が発生する必要があります。その最低周波数は1.5kHzで、ギターの深さと同じ半波長を持ちます。それ以上でサウンドホールから放射し、それ以下は放射しません。

比較的柔軟なバック(ライブバック)を備えたギターの場合、トップの圧力変化によりバックが振動します。これはギターの音に色を付けますが、トップからのエネルギーでバックが動くため、ギターは少しラウドネスを失います。

トップとバックをフレキシブルにすると「ボックス」が大きく見えるため、空気モードの共振周波数は低下します 。トップとバックの振動は加算されますが、250Hz を超える周波数はトップと位相がずれているため、音の放射が減少します。

ライブバックは「トーン」を与え、硬いバックは振動せず 「ボリューム」を与えます。

サイドは、その固さではなく、重いほどラウドネスと放射が大きくなり、トップのモノポール共振周波数は低くなります。

これらの説明の背後には多くの物理学があります。詳細が知りたい場合は、私の名前を検索して参考文献をみてください。

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さらに詳しく知りたい人は、Gore&giletの本を購入してください。


Alan Carruth:

「優れた」バスレフスピーカーとギターの違いは、
1) スピーカー キャビネットは重くて硬いが、ギターはそうではない。
2) スピーカー キャビネットはできるだけ少ない共振で作られている。
ということです。
理由は、スピーカーは「フラットな」周波数応答を持っていますが、ギターはそうではないからです。
スピーカーのようなサウンドのギターはつまらないでしょう。 本当に「クリーンな」フラットアンプとスピーカーを通して低レベルでレス ポールを演奏するようなものです。聞こえるのは弦の音だけです。

エンクロージャーにいくつかの共鳴を組み込む方法の 1 つは、たくさんの曲線を使って奇妙な形を作ることです。

ギターの形状がギターのように聞こえる理由です。そのためには、内部の共鳴が非常に明確で維持しやすいように、適度に硬くする必要がありますが、少し柔軟なほうが「興味深い」音になります。

ウエストのすぐ下のサイドのほぼ平らな部分は、通常はかなり高い周波数で振動し、音に色を付けることができます。ギターをバスレフスピーカーエンクロージャーと比較すると、トップが「スピーカー」で残りが「囲い」です。

トップはギターの中で唯一、弦によって直接駆動される部分です。

バックがトップからエネルギーを取得する方法は 2 つあります。
1) ボックス内の圧力変化によるもの
2) サイドから伝達によるもの
です。

トップはスピーカーコーンのように内外に動きます。この空気圧によってバックにかかる力は変化し、サイドからの力は位相がずれていることに注意してください。

空気はバックの中央を押し、サイドは端を押します。両方が同じ方向に押している場合、バックは空気を送り込むのではなく、平行移動するだけです。

空気共鳴の近くでは、サウンドホールを通る空気の動きはトップの動きと位相がずれています。空気は「アウト」に移動し、トップは「イン」に移動します。空気の一部はトップがあった場所に滑り込み、これによりギターが発する音の量が減少します。

バックがこの範囲で「アクティブ」であり、ボックス内の気圧の変化によって主に駆動される場合、サウンドホールから空気を移動させ、ギターの出力を向上させることができます。

これは通常、ほとんどのギターに当てはまります。オベーションのバックは、この範囲では十分に動きません。

低域周波数範囲を超えると(たとえば3弦(G ))、バックは「敗者(音量を押さえる側)」になる傾向があります。つまり、バックレゾナンスは通常、応答曲線の「ディップ」として現れます。

これはすべて悪いわけではありません。内部の空気共鳴 と同様に、高域の共振は「音色」に寄与します。これらのディップは、弦の一部の倍音を他のものより弱くし、各音に独自のサウンドを与えます。

ここでの秘訣は、くぼみを狭くする必要があり、それはバックの損失が少ないことと相関しています。深くなりすぎないようにします。
ダンピングは動きの関数であるため、バックはある程度動きますが、動きすぎないようにする必要があります。ローズウッドは密度が高く、硬く、損失が少ない素材であり、これが優れたギターバックを作る理由の 1 つです。

ギターはかなり複雑な楽器であり、適切なバランスを取るのは難しいものです。その多くは、考えられる限りのことを試みた人々によって、長い時間をかけて経験的に解決されてきました。時々、何かがうまくいくと、他のみんながそれを採用し、それが「標準」の一部になりました。このようなものを見るためのより良いツールを手に入れたので、標準的な設計がなぜそのように機能するのかを理解し始めています。

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スチール弦アコースティックギターの知覚品質に対するバックウッドの選択の影響 [papers]

Effect of back wood choice on the perceived quality of steel-string acoustic guitars

Samuele Carcagno,1,a) Roger Bucknall,2 Jim Woodhouse,3 Claudia Fritz,4
and Christopher J. Plack1,b)

1 Department of Psychology, Lancaster University, Lancaster, LA1 4YF, United Kingdom
2 Fylde Guitars, Penrith, CA11 9BD, United Kingdom
3 Engineering Department, Cambridge University, Cambridge, CB2 1PZ, United Kingdom
4 Sorbonne Universite, Centre National de la Recherche Scientifique, Institut Jean Le Rond d’Alembert, 75005,
Paris, France
(Received 1 October 2018; revised 2 December 2018; accepted 6 December 2018; published online 27 December 2018)

アコースティックギターの高価で希少なバックウッドが、サウンドと演奏性の品質にどの程度貢献しているかをブラインドテストで調査した結果です。興味のある方は、全文を読んでください。

結論:「私たちの研究の結果は、伝統的に賞賛され、高価で、希少な木材を使用して構築されたバックとサイドを備えたスチール弦アコースティックギターは、安価で入手しやすい木材を使用して構築されたバックとサイドを備えたギターよりもギタリストによって実質的に高く評価されていないことを示しています。ギタリストがブラインド状態でバックとサイドが異なるウッドで作られたギターを区別する能力が低いことは、バックウッドがアコースティックギターのサウンドに与える影響はごくわずかであることを示唆しています。」

 6本のギターを異なるバックウッド(ブラジリアンローズウッド、インディアンローズウッド、マホガニー、メイプル、サペリ、ウォールナット)で、Fylde Guitarsによって作られました。バックとサイド以外の部分は、「Falstaff」という同じデザインと素材の仕様で作り、比較しています。

1.ブラインドテスト
 視覚的な識別を防ぐために溶接機のゴーグルを着用して、薄暗い部屋で52人のギタリスト(プロ18人、セミプロ21人、アマチュア13人)によって与えられた全体的な音質評価(1つのギターでの2分間のフリープレイのあと、全体的なサウンド、演奏性、14の知覚的な質問に答え、5分で評価フェーズを完了)は、6本のギター間で非常に類似していました。ギターを2回評価したギタリストは、セッションごとの評価に一貫性がありませんでした。

2.ABXテスト
31人のギタリストによって実行された2つのギターの比較テスト(ブラインド状態で最初に1つのギター(ギターA)を1分間演奏し、次に別のギター(ギターB)をさらに1分間演奏、その後、2本のギターのうちの1本(ギターX)が再び与えられ、それがギターAかギターBかを決定する)も行われた。その結果、ギタリストがギターを区別できなかった。

3.合成されたギターサウンドのABXテスト
上記の中の7人のギタリストによって、6本のギターのブリッジアドミタンス(インピーダンスの逆数、数値が高いと反応が良くなる)から合成されたギターサウンドのABXテストは、テストされたほとんどのギターペアで識別できていない。

3つのテストから、スチール弦アコースティックギターのバックとサイドに使用されている木材の種類が、そのボディのプロパティといわれる音にほとんど影響を与えないとしています。

このことは、「バックウッドの特性を補って、さまざまなウッドを使用して非常に似たサウンドの楽器を実現できる可能性がある」ことを示唆しています。

「バックウッドのみが異なる2本のギターを区別することは非常に難しい。」という結果ですが、ローズウッドとマホガニーでは音が違うといった私(たち)の一般的な感覚とはズレた結果になっています。

ギター間の差が十分に大きく、バックウッドに限定されない場合(この中でYAMAHAの汎用ギターとのABXテストも行われた)、リスナーはそれらを識別できていますから、「6つのギター間の知覚された違いが非常に小さかったため、プレーヤーがそれをランク付けできなかった」ということです。

音響心理学の背景として、「何々の木がどういう音がするといった情報がある。ギターマガジンやオンラインフォーラムには、プレーヤーの認識や好みに基づいたさまざまな木材の特徴や比較がたくさんあり」、それが私たちの頭に刷り込まれているということがあります。

「ギタリストが数時間、数日、またはおそらく数年のオーダーでより長い期間ギターを演奏できたとしたら、ギターを区別する能力、およびセッション全体での評価の一貫性がより高かった可能性があります。」とも言っています。

まったく外見が同じ(ブラインドテストなので手触りが同じ)で数分間で違いを判断することは無理ということでしょう。

P.S. この内容とはまったく関係ありませんが、Fylde Guitarsは、私と同じ0フレットを採用しています。


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