オリジナルギター4 塗装を終えて その1 [original guitar4]
塗装にはいつも苦労します。構想時にはスプレータイプの油性ウレタンニスを使うことを考えていました。
油性ウレタンニスはOrg.#1で使用しました。光沢ではラッカーニスには劣りますが耐久性という意味では最も良い選択肢だと考えています。しかし、Org.#1に使用した油性ウレタンニスは琥珀色(ほとんどのウレタンニスはそのようです)になってしまいました。これは成分上仕方がないことだというメーカーの話も聞きました。
Org.#2とOrg.#3では、無色透明であること、扱いが容易である、無臭であるという理由で水性ウレタンニスを使いました。これには大きな問題ないのですが、#3でゴムに対する耐性が今一つなことがわかりました。
Org.#4を製作する前に、油性ウレタンニスで透明なものはないかを調べ、カンペハピオの透明ニスは透明なのが分かったので、これを使用してみようと考えていました。しかし、実際に使ってみると、気温の低い時には油性ウレタンニス塗装は難しいと判断して、今まで使用したことがあり、使用環境や扱いが楽な水性ウレタンニスで行いました。
20230601 オリジナルギター4に向けての塗装1 -水性ウレタンニス-
20230602 オリジナルギター4に向けての塗装2 -水性ウレタンニスの工程-
20230604 オリジナルギター4に向けての塗装3 -油性、水性ウレタンニス1液、2液の違い-
20230605 オリジナルギター4に向けての塗装4 -スプレー油性ウレタンニス1-
20230607 オリジナルギター4に向けての塗装5 -スプレー油性ウレタンニス2-
20230614 オリジナルギター4に向けての塗装6 -ウレタンニスまとめ-
オリジナルギター4 ボディ36:トップ・ウレタンニス3日目 [original guitar4]
オリジナルギター4 ボディ35:トップ・ウレタンニス2日目 [original guitar4]
オリジナルギター4 ボディ34:トップ・ウレタンニス1日目 [original guitar4]
水性ウレタンニス:水を2:1に薄めて塗布します。1時間毎に5回重ね塗りして、#600でサンディングします。その後、水拭きします。
#600のサンディングは、強く削らず全体を軽くサンディングを3回繰り返します。
5回重ね塗りしているので木地までは到達しません。白くニスだけが削れます。
オリジナルギター4 ボディ33:トップマスキングとサンディングシーラー塗布 [original guitar4]
オリジナルギター4 ボディ32:バックサイド・ウレタンニス3日目 [original guitar4]
水性ウレタンニス:水を2:1で薄めて塗る3日目です。前々日、前日と同じように塗布が乾燥している状態で#600でサンディングして、水拭きします。既に2日x5回+サンディングされているので、表面は整っています。ニスを重ね塗りしていきますが、十分に塗膜ができているので3回で終わりにしました。
この後は年明け以降も1ヶ月程度十分乾燥させてから、水研ぎを行います。
オリジナルギター4 ボディ31:バックサイド・ウレタンニス2日目 [original guitar4]
水性ウレタンニス:水を2:1で薄めて塗る2日目です。前日の塗布が乾燥している状態で#600でサンディングします。強くサンディングはしないで軽く行います。3回程度サンディングして、残った光った部分を消していきます。ニスを5回塗っているので、木地まで達せずに白い乾いたニスを均します。
サンディング後、ニスを重ね塗りします。合計5回塗りますが、1,2回目は比較的スムーズに塗れますが、3回目以降は塗膜が厚くなり均一に塗るのが難しくなります。5回塗る必要はないかもしれません。
一昼夜おいて、サンディングします。
オリジナルギター4 ボディ30:バックサイド・ウレタンニス1日目 [original guitar4]
サンディングシーラー塗布後、水性ウレタンニスを塗布します。Z-Poxyの硬化不足に悩まされましたが、それでも少しは目止め効果が出ています。
水性ウレタンニスは、油性に比べて温度の影響が少なく、気温10℃でも問題なく塗ることができます。幅10cmのスポンジ刷毛を使います。水性ウレタンニス:水を2:1で薄めます。薄めないと粘度が高く上手く塗れません。また、薄すぎてもはじいて上手く塗膜ができません。これを10㎝のタッパー(写真に半分写っています)に溶いて1日分(5回分)を用意します。この容器にスポンジ刷毛の先端を付けて塗ります。あまりニスをつけすぎると薄く塗れないので必要最低限の量を付けて塗ります。1分以内ならば塗り直すことができるので、塗りが不均一になったり、スジ状になった部分は修正します。1時間おきにサンディングしないで5回塗り重ねていきます。一昼夜おいて#600でサンディングします。
オリジナルギター4 ボディ29:サンディングシーラーを塗布する。 [original guitar4]
今回はネック、ボディの下塗り(目止め)で苦労しました。スプレータイプ油性ウレタンニスにした結果、ネックはドライミストに、ボディはZ-Poxyの硬化不足に悩まされました。結局、下塗りだけで1週間以上を無駄にしました。一番の原因は、気温の低い「冬」に塗装を行ったことだと思います。特に、油性ウレタンニススプレータイプは温度の高い環境ではないと無理だと思います。
さて、水性ウレタンニスに切り替えます。Z-poxyをすべて削り取りましたが、目止め材としての効果はありましたが、まずはサンディングシーラーを塗ります。
オリジナルギター4 ボディ28:サイド、バックのZ-poxyを削る。 [original guitar4]
サイドは硬化については少しマシでサンドペーパーをかけると粉状になったのですが、それでもローカリティがあり、一部はバックと同じようにゴム状になってしまいます。その原因は2液あるZ-Poxyの硬化剤が足りなかったからだと考えています。
オリジナルギター4 ボディ27:ブリッジを用意 [original guitar4]
塗装の間にブリッジを用意します。「用意」と書いたのは、初めから作っていないので製作とは言えないからです。#6601【ブリッジ】ローズウッド材 無塗装 加工済 を使用します。マーチンタイプの市販品を加工していきます。
何故、市販品を利用するかというと、「6つの穴を等間隔で開ける」「サドル溝を開ける」という加工が無くなるからです。この作業は精密でなかなか難しい。
#180から始めて、#240→#400で仕上げたら完成です。
音量の効率を表すモノポールモビリティは、トップ有効面積 / その重さ(有効面積の重さ+ブリッジ+サドル+ピンの重さ) に比例します。トップ有効面積の重さは100g以下なので、ブリッジの重さが10g違うのは、この値にものすごく影響します。よってブリッジを軽くすることは、音にものすごく影響するわけです。
マーチンタイプのエボニーは重さが40g近くあります。ローズウッドも29gありました。
ogino guitars は22gだそうです。
オリジナルギター4 ネック43:水性ウレタンニス塗布 3日目 [original guitar4]
#600でサンディング後、水性ウレタンニス:水=2:1に薄めたものを塗る3日目です。木地と刷毛をしっかりと乾かすため、60分毎にしました。塗膜がかなり厚いので3回でやめます。
これを乾かして、#800 → #1000 → #2000と水研ぎをして仕上げます。
オリジナルギター4 ネック42:水性ウレタンニス塗布 2日目 [original guitar4]
昨日塗ったものを#600でサンディングします。#600となると、ほぼ表面しか削ることができないので、一度ではなく何度かに分けて丁寧に均していきます。写真のヘッド側はサンディング後です。ネック側はこれからです。
塗布はスポンジ刷毛を使いますが、室温が低くニスの粘度が高すぎるとスジっぽくなり、均一に塗れないのでなるべく温度を上げて粘度を調整します。
この日はサンディングが終了したのが13時で、塗布を開始したのが15時でした。さらに、曇ってきて温度が下がったので、3回の塗布しか出ませんでした。しかし、塗膜は十分にできているので、明日これを乾かしてサンディングします。
オリジナルギター4 ネック41:水性ウレタンニス塗布 1日目 [original guitar4]
3回塗り重ねたサンディングシーラーを#400でサンディングします。サンディングシーラーは水性ウレタンニスに研磨剤が入っていて、木地とニスとの食いつきを良くします。なので、強くサンディングはしません。光沢面がギリギリ消えるくらいにします。
水性ウレタンニス:水=2:1に薄め、スポンジ刷毛で塗ります。一度塗って垂れてくるようであれば、ウレタンニスを加えて濃くします。薄すぎると塗膜ができにくく、後でサンディングするときに直ぐに木地が露出しやすいので、ニスの濃さは重要です。
完全に乾燥するには2時間くらいかかりますが、10分位で表面は乾燥してきます。40分毎に5回塗り重ねました。この間、サンディングはしません。
一昼夜置いてサンディングします。
オリジナルギター4 ネック40:ネックの塗装を水性ウレタンニスにする。 [original guitar4]
構想時には油性ウレタンニスで塗装をしようという方針でしたが、上手くいかずに今まで通りの比較的簡単な水性ウレタンニスをスポンジ刷毛で塗る方法に替えました。
油性ウレタンニスで2回失敗しましたが、これがうまい具合に目止め材として機能しているようで、導管の太いアフリカンマホガニーもほぼ埋まっています。
水性ニスにするので、油性との相性が気になりますが、メーカーのQ&Aを見ると、表面をサンドペーパーで少し荒らすと問題なさそうです。最初に水性ウレタンニスの食いつきを良くするために、サンディングシーラーを塗ります。本来はこれでサンディングした後の木地を均して、ニスの食いつきを良くしますが、念のため、これを行います。
Org.#2は水性ウレタンニスの塗装がうまくいったので参考にして進めます。
サンディングシーラーの乾燥時間は、表面だけは10分もあれば乾燥しますが、重ね塗りをするので、1時間の間隔を開けて#400でサンディングし、3回重ね塗りしました。
オリジナルギター4 ネック39:ネック目止め・ドライミストと低音環境で失敗! [original guitar4]
よく理由が分からないので、油性ウレタンニスのメーカーのQ&Aを調べてみると、これが見つかりました。
「スプレータイプの場合は、塗装するときの被塗物とスプレーの距離がポイントになります。理想の距離は、20〜25cmです。
・30cm以上・・・ドライミスト(ドライスプレー)
塗料が乾いた霧状になって付着するため、塗装の表面がザラザラになり、きれいなつやのある仕上がりになりません。
・15cm以下・・・オーバーウエット
一点に塗料が集中して溜まってしまい、均一な塗膜にならずに、塗りムラになります。」
近づきすぎると、塗りが厚くなるのは経験的に分かっていたので、30cm以上離して塗っていました。おそらく暖かい場合はなりにくいと思いますが、乾燥して寒いため、ドライミスト状態になったためと考えられます。
もう一度、サンディングしてやり直します。
翌日、吹き付ける距離を守ってスプレーしましたが、また同じように”ドライミスト”状態になり、うまく塗れませんでした。おそらく温度が原因ではないかと思います。使用注意として、5℃以下ではうまくミストができないと書かれています。この日は比較的暖かく15℃程度はありました。しかし、スプレーの吹き出し口が液体が気体になる時の気化熱で冷えて、上手くミストにならなかったのではないかと考えています。いずれにしろ、寒い冬にはスプレータイプの油性ニス塗装は無理だと判断しました。
水性ウレタンニスの刷毛塗りに切り替えます。
オリジナルギター4 ネック38:ネック目止め・サンディング [original guitar4]
ネックはアフリカンマホガニーで、ホンジュラスに比べて、導管が粗いです。しかし、ローズウッドほどではないので、目止めはウレタンニスを何度か塗って行うことにします。
1回目は捨て塗りで、木地が見えるように#400でサンディングします。
オリジナルギター4 ボディ26:サイド、バックにZ-poxyで目止め [original guitar4]
オリジナルギター4 ボディ25:トップを均す [original guitar4]
オリジナルギター4 ボディ23:サイドを均す2 [original guitar4]
一昼夜置いて、パテで埋めたところをサンディングで均します。きれいに埋めることができました。幅方向には凹部分、ベンディング時の影響(曲面にならず角が立ってしまう)の部分を均し終えたので、#180→#240→#400でサンディングして完成です。
オリジナルギター4 ボディ22:サイドを均す1 [original guitar4]
・布サンドペーパー(#60)を丸棒に巻き付けたもの
・サンディングブロックに#80のサンドペーパーを貼り付けたもの
・サンディングブロックにサンディングペーパー(#120)をつけたもの
で修正していきます。
ウエスト部分の凹部は丸棒に布ペーパー(#60)を巻き付けて削ります。ベンディングアイロンで少し焦げた部分もこれで削り取ります。
3つのサンディングツールを駆使して、表面を整えました。
次に、トップとバック、サイドを貼り合わせたときにできた隙間を修正します。
サンディング時に出たホンジュラスマホガニーの粉とタイトボンドで作ったパテで埋めて修正します。
塗装前にいかにキズを修正するかが最終的な出来栄えを左右します。
オリジナルギター4 ネック35:ネック握り形状修正 [original guitar4]
ネック塗装に入る前に、最終的な握り形状を整えます。Org.#2が比較的押さえやすくできているので、これに合わせます。Org.#2の1フレットのネット幅は44.2mmです。今回は44.5mmで、少し幅広な感じがしています。
フィンガーボード面に対して斜め45°面を細くしました。これは感覚的なものです。 いろいろ確認すると分かりましたが、フィンガーボード面とサイド面のエッジが均されていないため、エッジが立っているのが、幅広な感じがする原因のようです。これは後でも調整できるため、このままとします。
オリジナルギター4 ボディ21:ネック固定の手順再確認 [original guitar4]
「ネック固定の手順確認」で決めた通りに、ネックをボディに固定します。
この時は、ネックブロックの裏ブタが接着していなくて、開いていたので、簡単にできたのですが、今は裏ブタを接着し、バックも接着したので、全くの手探り状態で行うのはかなり難しいと感じていました。
ポイントは、2つあって
・奥のビスを手で軽くナットに留める。
・手で留めた後、奥のビス頭に六角ボルトラチェットレンチを挿入する。
ことです。
ラチェットレンチは、締めるのと反対方向に少し負荷がないとラチェット機構が働かないため、まず手でナットに留めてからレンチを使って締めます。手でナットを留める時に親指が入らないため、人差し指と中指で回す必要があり、ゴム手袋は摩擦を増すためにしています。ゴム手袋で摩擦を増すと比較的簡単に回すことができます。
ブラインド(見えない状態)でビス頭に六角レンチボルトを入れることはかなり至難の業です。これが難しい場合は、バックからネジに向かって穴を開けてしまおうと考えていましたが、カチャカチャと数分行っているとコツ(写真のように人差し指でレンチ横に沿わせて、奥にレンチを当てることで深さ方向が安定するので、左右に振りながら挿入位置を探る)が分かってきて、挿入することができました。
後は、この構造で弦の張力に耐えられるか、順ぞりがどの程度になるかを確認します。