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フレットボードの作り方3 [woodwork]

9.フレットワイヤー20個の切断
フレットワイヤーは、一般的なスモールタイプ(フレットボード上で高さ1.0x幅2.0)は、国内メーカーでは三晃製作所、タイプはSBB-23(0.6mm)かSBB-217(0.5mm)です。販売は大和マークです。
 この2つの違いは、フレットボード溝に入る足の幅です。フレットボードはエボニー(黒檀)やローズウッドのような硬い木なので、この0.1mmの差は大きいです。リフレット時で既にフレットが打たれた後であれば、溝が既に広がっているので、0.6mmです。新しく溝を切ったならば、0.5mmでしょう。特にエボニーは硬いので0.5mmを使用したほうが無難です。もちろん使用する鋸の厚さによります。海外メーカーではJim Dunlop、Jescarなどがあります。

Goldタイプもあります。Jescar EVO“Ni-Free” Gold No.43080Eです。通常のニッケルシルバー品よりやや硬いです。

フレットキーパー.JPG
ワイヤーを1~20フレットにあった長さにカットした後、フレットキーパーに納めます。フレットは各々長さが異なるので、フレットがバラバラにならないための治具を用意しておくことは重要です。これに順番にフレットを差しておきます。

使用する工具類は、ここを参照。

10.フレットに曲率をつける
溝切ラジオペンチ.JPG

フレットを打つ前に、フレットボードの曲率より少し強めにRをつけます。フレット浮きを押さえるために重要なことです。足つきのフレットにRをつけるわけですから、このように加工した溝切ラジオペンチを使っています。このラジオペンチは、先の曲がったものにフレット足を挟めるように加工されています。フレットベンディングプライヤーもあります。

11.フレット端の足を詰める。
端切り.JPG
両端の足を切り、やすりで磨きます。これはMUSTの作業ではありませんが、冬になると木と金属の膨張率(収縮率)の違いでフレットワイヤーがフレットボードの両端から出てきて、これが微妙に手にふれてザラザラとして違和感になります。これを防ぐためには、打ち込む前にフレットワイヤーの両端の足を2mm位落としておくのが良いです。普通のニッパと金属ヤスリでもできますが、これだけで1日かかります。フレットタングニッパーがあると便利です。

12.フレットを打ち込む。
フレットを溝に打ち込むためには、金属製のハンマーはフレットを傷つけるのでプラスチックハンマーが必要です。

押し込むタイプの工具が販売されていますが、ハンマーで済ませています。

まずは、端から打ち込みます。次に反対側の端を打ち込み、最後に真ん中を打ち込みます。打ち込みのコツは、フレットボードにハンマーヘッドが当たると痕が付くので、あまりハンマーを振り上げずに10mmの高さに上げて打ち込みます。叩くというよりも押し込む感じで打ちます。

ネックに貼り付ける前に、フレットボード単体の方が打ちやすいですが、通常はネックに付いた状態でフレットを打ち込みます。短い1フレットから順に打っていったほうが慣れてくるのでいいと思います。

打ち込み終わったら、フレットの両端をフレットカッターででっぱりを切り取ります。切くずは危ないのでしっかりと回収しましょう。

13.マスキングテープを貼る。
マスキングテープ.JPG
ネックと平行にフィンガーボード側面が隠れるように、ネックエンドまで貼り、そのあとでフレット間をマスキングしていきます。

14.フレット端処理
フレットレベラー(に取っ手を付けました)で側面を平らにし、
角度60°でヤスる治具.JPG
次に端をフレットボードとの角度60°でヤスる治具(これもフレットレベラーに取っ手を付けた自作です。市販もされています。)で揃えます。

15.フレットの高さを揃える。
すべてのフレット端処理が終わったら、フレット高さの調整をします。フレットレベラーでトップを粗く高さ調整し、平らにします。

曲尺で確認.JPG
小型曲尺を使用して、両隣のフレット合わせて3フレットで高さがそろっているかを見ます。押さえつけて高さが違うとカタカタと音がします。フレットの真ん中、左端、右端の3カ所で確認します。フレットが高い箇所にはマジックペンなどで印をしておきます。

フレットファイル.JPG
その後、フレットファイルでフレットの山を丸く整えていきます。フレットファイルは、幅が広めの物を使います。スモールサイズ(幅2mm)用はピッタリすぎて動きません。

16.フレットを磨く
#400.JPG
スチールウール.JPG
紙ヤスリ(#400)⇒スチールウール⇒コンパウンドの順にフレットを磨いていきます。この順番は、ギター工房オデッセイさんのリペア情報を参考にさせていただきました。

17.さらにエッジを丸くしていきます。
仕上げ.JPG
ここの工程はフレットワイヤー一本一本についてやっていくので、すごく時間がかかります。但し、ここでワイヤーのエッジを丁寧に丸く仕上げておくかどうかで演奏性が全く違います。

18.溝を埋める。
溝を埋める。.JPG
最後に、フレットとフレットボードにできた隙間をパテで埋めていきます。パテは、フレットボード表面をサンディングするときに出る粉を集めておきます。これにタイトボンドを混ぜて作ります。この隙間を埋めるのは、外観の問題です。固まったらサンディングします。




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