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YAMAHA FG-200J 分解⇒リペア その1 [repair]

FG-200J.JPGさらに内部構造や木材加工技術を上げるため、YAMAHA FG-200Jのリペアを行いました。リペア後、ネック以外は塗装はしていません。あまりいい音ではなかったので、今は組み立てれば弾けますが、ネックとボディをばらしています。購入はギター製作を中断する2008.10以前で、おそらく2,000円位。購入した時点でネックにヒビが入っていて、元起きが発生している(弦高は12F 6弦で3.9㎜ 1弦で3.6㎜)。

初期のヤマハのギターのネックブロックは杉材のようなもの(マホガニーではない)が使われており、柔らかすぎます。これも元起きの原因の一つでしょう。分解リペア期間は、2018.8-2019.8。1台目の組立を再開しましたが、また壁にぶつかって、様々な疑問点をこれを使って確認しています。

この時は、
・リペアによる木工技術のアップ
・ネックとボディの接続方法
を最重要課題として考えていました。

その後、
トップを削ったり、ブレースを剥がしてボイシングを行おうとしましたが、合板トップであり、成果が期待できないと思い、これは中止。

強制振動テスト実験でどの程度の効果があるかを確認しました。

1.ネック外しと割れ修正
ネック割れ修正1.JPG
購入当時(2008年)、ネック外しを行ったが、接着剤が軟化しなかったため、一度諦めてます。おそらく、アイロンによる温め方が足らなかったのでしょう。
ネック割れ修正2.JPG
今回(2018年)はじっくり温めたので、なんとか剥がれましたが、蒸気を入れ外す治具で外そうとすると、割れている部分が中に残ってしまいました。これを外すのにえらい苦労しました。完全に割れています。
ネック割れ修正3.JPG
割れていたところに、斜めに2本ビスを入れ、タイトボンドで接着しました。これでネックリセットが行えます。
蒸気穴ふさぎ1.JPG
15フレットに開けた蒸気を入れた穴をふさぎます。
 
2.ネック細径化
ネック細径化1.JPG
FG-130の時にも書きましたが、この時期(1970代前半)のヤマハのネックは太い(=厚い)です。これをShenandoah M00045のネック形状に合わせようと、まず1,5,10フレットの断面のテンプレートを作りました。
ネック細径化2.JPG
ネックを厚さ1フレット23.0→21.0mm、5フレット24.5→21.5mm、10フレット26.2→23.0mmに合わせて削っていくわけですが、まず、ネック中央の厚みを出し、目標になったら、中央に線を引きます。ネックを山に例えると尾根になるわけです。この中央線はネック完成まですべての基準になり、消えません。
ネック細径化3.JPG
削るツールは写真にも写っていますが、シントー のこヤスリ L E2101 が便利です。通常のヤスリの10倍以上速く整形できます。ギター木工のため買ったうちのベスト3に入る良い工具です。ネック用カンナもありますが、断然これが速いです。ただ、鋸カスが沢山出ますので、こまめに掃除機で掃除をしてください。マスクを忘れずに。

この場合、ネック幅は決まっているわけですから、あとは形状を出していきます。まず中心から両脇45°の部分を削っていきます。次に22.5°、67.5°と前の角度との中心を削っていきます。テンプレートをあてて確認しながら。

ネックの端に近い部分がどうしても残りますので、幅方向を削りすぎないように慎重に行います。
ネック細径化4-1.JPG
こうなれば完成です。

3.フレット抜きとフィンガーボードR化
フレット外し1.JPG
古くなったフレット交換とフレット打ち(後で出てきます)の練習を兼ねて行いました。フレットを抜くわけですが、まずフレットボード全体にレモンオイルを塗ります。古くなって脆くなったフレットボードを湿らせて欠けにくくするわけです。次に、アイロンでフレットを温めて膨張させてボードとの隙間を作って、抜けやすくします。フレットを抜くには、ツノダエンドニッパーEN-115を使います。引き抜くときにフレット磨きプレートを使うと、フィンガーボードの溝端が欠けにくくなります。
フレット外し2.JPG
やっと抜けました。もう40年以上たっている木材は脆いので欠けに注意しましょう。
フレットR化.JPG
ついでにフィンガーボードを弾きやすくするために、10インチのRを付けました。また、ポジションマークがプラスチックでできていたためアイロンの熱で溶けてしまったため、白蝶貝に入れ替えました。

4.ネックリセット
弦高調整.JPG
ネックのサドル高さを決めます。今、フレットボード面から延長するとサドル上で1mmの高さがあります。フレット分1mm、12フレットで2mmの弦高とするとサドル上ではその2倍の4mm必要になります。よって5mm高くし、6mmにする必要があります。
ネックリセット1.JPG
サドルを現状より5mm上げたいとすると、ヒール部分の厚みはおおよそ100mm、ボディ端(=フレットボード14F)からサドルまでは300mmですから、三角形の相似の関係でヒールをその1/3≒1.67mm削ればよいことになります(サドル高は6mm)。
ネックリセット2.JPG
これでボディにネックをセットするとヒール部分で隙間が空いて、ガタツキがあります。
ネックリセット3.JPG
これを補正するために、Sim(ローズウッドで作りました)を作り、削りながらネックとボディの隙間(ガタツキ)がなくなるようにします。

この作業は空しい感じがします。ダブテイル接続という形でネックとボディを接続すると常にこの作業が発生します。よって、この接続方法はやらないようにしようと考え始めました。

ネックが割れているのを修正すると同時に、ネックリセットを行い、さらにこれをネックボルトオン化、ボルトオンーボルトオフ構造へと進化させます。

それは次回で。

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