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木材の保管2 [woods]

一般的に木材は、伐採後できるだけ早く木材を最終的な寸法に近づけ、水分を乾燥させます。

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トップの材料特性 [woods]

今まで、音を良くする為に、板厚やブレーシングを削り振動モードの周波数特性を調整してきました。

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“How the Selection of Species Helps Define the Sound of Your Guitar" by Dana Bourgeois [woods]

“How the Selection of Species Helps Define the Sound of Your Guitar” 

Acoustic Guitar Magazine, March/April 1994


ここでは、今日最も一般的にトップ、バック、サイド、フレットボード、ブリッジに使用されている木材の長所と短所を見ていきます。


 

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代替材 [woods]

(ホンジュラスローズウッドBM A 2008年9月購入9,000円でした。)

(ホンジュラスマホガニーBM A 2021年1月購入 16,500円でした。)


この10年を振り返ると木材が高騰しています。当時入手できないものは、ハカランダ(ワシントン条約で制限)とキューバンマホガニー(既に枯渇)位でしたが、今はアコギに良く使われてきた木材までが、入手できなくなっています。


トップ材はまだ入手可能ですが、バック材が高いです。それで、バックの代替材が出回るようになってきました(サイド材は音には影響はないので、デザイン的にバックと同じにしたいということだけで同じものが選ばれています)。


ローズウッド系は、

ブラジリアンローズウッド ⇒ マダガスカル、ホンジュラス、インディアン

マホガニー系は、

キューバンマホガニー ⇒ ホンジュラス ⇒ アフリカン になっています。


音は「バックに選択された木材種の密度によって支配」されると考えられます。密度は、インディアン<ブラジリアン<マダガスカル<ホンジュラスの順なので、代替材としてはマダガスカルが近いのかもしれません。さらに、オバンコール、ウォールナット、ジリコートウッド、ゼブラウッド、パーフェロー、グラナディーロ、ブラックウッド等がありますが、使ってみないと何とも言えません。


バック材として聞いたことのある各種の比重(水=1000kg/m^3、念のため)は、

ココボロ [ 0.98~1.20 ]

ホンジュラスローズウッド [ 0.94 ]

ジリコテ [ 0.88 ]

ジャカランダ [ 0.85 ]:ハカランダ

ブビンガ [ 0.80~0.96 ]

オバンコール [ 0.80 ]

ローズウッド [ 0.75~0.85 ]:インディアン

シュガーメープル/ハードメープル [ 0.72 ]

オーストラリアンブラックウッド [ 0.66 ]

マホガニー [ 0.66 ]:ホンジュラス

ウォルナット [ 0.64 ]

ヤマザクラ [ 0.60 ]

ウォルサペリ [ 0.56~0.69 ]

アフリカンマホガニー [ 0.53~0.59 ]


トップ材の比重は、レッドシダー [ 0.37 ]、スプルース [ 0.46 ]なので、0.55を超えるとバック材として使えるということでしょうか。Goreさんも「密度が 550kg/m3 から 800kg/m3 の範囲にある木材が最も扱いやすい」と言っています。

 

上:エボニーA Org.#1用に加工したが、未使用 2007年4月購入1,700円

中:エボニーA 2022年3月購入 2,420円

下:エボニー2A 2008年9月購入 2,700円

(2022年購入品は斑模様が激しいです。)


フレットボードは、弦を押さえるときの視認性を考えたら、エボニー以外の選択はないと思いますが、最近ではこのエボニーの品質が問題となっています。「エボニー 2A」は品切れ状態です。Martinの新しいギターのフレットボードが斑のものが目立っているのもその影響でしょう。品質といっても色の問題(真っ黒ではない)で、その他は変わらいそうなので、ある意味、「代替」材といえるかもしれません。


人工材として2種類紹介すると、ナイフの柄に使われているマイカルタはフェノール樹脂素材で、布、紙、合板等を固めたものです。Martin 16 シリーズで使用されています。HEADWAYでも使用されています。エボニーは温湿度に対する変化があり、リッチライトはエボニーの50%の収縮で、マイカルタはほとんど収縮しません。


エレキギターには使われているようですが、アコースティックギターでは、あまり広がりを見せません。天然木を好む人には、受け入れられないのでしょう。

 

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フレットボード材 micarta [woods]

マイカルタは、アメリカのウェスティングハウス社が開発したフェノール樹脂素材です。 布、紙、合板等を固めたものです。現在は世界最大の製紙企業インターナショナル・ペーパー社がマイカルタの生産をしています。


ナイフの柄に使われているようです。


https://www.acousticguitarforum.com/forums/showthread.php?t=40279

https://www.acousticguitarforum.com/forums/showthread.php?t=521406

https://www.acousticguitarforum.com/forums/showthread.php?t=521406&page=2


リッチライトはエボニーの50%の収縮で、マイカルタはほとんど収縮しません。


Micarta は一部が木材繊維で、一部がプラスチック (おそらくある種のフェノールプラスチックです) で、Martin 16 シリーズで使用されています。エボニーやローズウッドよりも硬くて安定していると言われています。また、従来のブリッジ素材と同等かそれ以上の音を伝達するということです。歪み、ひび割れ、摩耗はないそうです。


しかし、天然木を好む人には、受け入れられないのでしょう。あまり広がりを見せません。


HEADWAYでも使用されています。


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Wood for Guitars4 by Trevor Gore [woods]

Wood for Guitars

Trevor Gore

Proc. Mtgs. Acoust. 12, 035001 (2011); doi: 10.1121/1.3610500

View online: https://doi.org/10.1121/1.3610500

Published by the Acoustical Society of America


Gore guitars の Mr.Trevor Gore がギター用の木材の選定について書いています。

4回に分けて紹介していきます。興味の湧いた方は、原文を読んでください。


高級アコースティックギターの設計基準

第1回

1.音響基準

2.構造基準

第2回

3.重要な材料特性

3.1.ブレース用木材

3.2.サウンドボード用木材

第3回

3.3.バックとサイドの木材

第4回

3.4.ネックウッド

3.5.フレットボード

3.6.ブリッジ

で紹介していきます。


3.4.ネックウッド

 安定したネックは、幅広い木材から製造できます。さらに、合理的な木材を選択すれば、ネックに剛性と安定性を追加するために、複合材の複数のラミネートを使用してネックの製造を複雑にする必要はありません。ネックにカーボンファイバーを追加(著者はカーボンファイバーの追加は否定的です。私は、カーボンファイバーの追加は音質的にというよりも、構造的に順ぞりに対する耐性とネックのねじれをなくすことにあると思っています。)しても、ビルドの複雑さが大幅に増加する一方で、聴覚上の利点は得られないようです。

 ネックウッドに求められる特性は、荷重や湿度の変化に対する長期安定性と、彫りやすさです。伝統的な選択肢は、スチール弦ギターにはホンジュラス マホガニー、クラシック ギターには「スペイン杉」です。オーストラリアのクイーンズランドカエデは、非常に優れたネック材です。ギターのネックアセンブリを成功させるためには、相対湿度が変化しても安定していることが重要です。



3.5.フレットボード

従来の指板材の選択は、エボニーローズウッドです。 エボニーは最も高く評価されていますが、寸法安定性があまり高くなく、非常に硬いため、湿度の変化でネック全体が曲がる可能性があります。古いフレットを取り外すときに問題となる非常に脆くなる可能性があります。一般的にローズウッドよりも耐摩耗性が高い

Macassar ebonyは、より安定しており、ローズウッドと同様の安定性を備えています。縞模様ですが、油を塗ると、木材は均一な黒になります。 フレットボードの要件を満たす代替木材は、サティーンまたはブラッドウッドです。ローズウッドは、イーストインディアン ローズウッドのダークパープル/ブラウンから、ベトナム ローズウッドの赤レンガ色までさまざまです。著者は、特定の音響特性を特定のネック材や指板材またはそれらの組み合わせに関連させることはできませんでした。


エボニー材についてはこの記事を確認してください。


3.6.ブリッジ

サドルを保持し、弦を終端させ、弦の振動をトップに伝達します。あまり目立たないのは、それがギターのトップの真ん中にある巨大なクロスグレインブレースでもあり、ギターの振動挙動に、サウンドに影響を与えるという事実です。したがって、質量とロンググレイン剛性は主要な設計変数です。

 しかし、サドルスロットの前部がたるむことなくサドルを効果的にサポートできるように、木材の硬さ (弦が木に直接入り込まないようにするため) や、木目の強度と剛性など、他の属性も考慮する必要があります。

 伝統的な選択はエボニーとローズウッドですが、これらの木材は著者の好みには重すぎるブリッジを生み出します。剛性、密度、硬さのバランスが取れていると評価された木材は、パダウ、クルミ、タスマニアブラックウッドです。低密度のサンプルを選択することは重要です。

 ブリッジの全体的な質量は、ギターのサウンドを調整する上で重要な設計要素です (ブリッジ質量は、T(1,1)2 モードの共振周波数に大きく影響し、モノポールモビリティに大きく影響します)。ブリッジの質量を増やすと、トップの同等の質量がすぐに増加します。ブリッジ質量はトップの有効質量の増加の約 45% です。 応答性の高いギターは、より高いパーセンテージの変化を反映します。もしT(1,1)2 周波数に戻すならば、剛性を追加する必要があり、これにはもちろん追加の構造が必要であり、質量が必要になり、モノポールモビリティが大幅に低下します。

 著者が測定したブリッジの質量は、20 から 35 グラムの範囲であり、ブリッジのピンとサドルを追加すると、少なくとも 5 グラムが追加されます。著者は、スチール弦のブリッジの質量を 15 ~ 20g の範囲に、クラシック ギターには12〜 15g範囲に維持しています。これよりもはるかに軽量なものを構築することは困難です.

ーーーーーーーーー

4回に渡ってMr.Trevor Goreのギター用の木材の選定について紹介しました。

・2回目で紹介した、ブレース用木材としてスプールス材しか選べないことは、知りませんでした。

・また、木材の材料特性に関係なく、サウンドボードの厚さを調整することで、同じ振動応答をえる方法は、Gore と Gilet の本( Contemporary Acoustic Guitar Design and Build, Vol. 1; p4-58 to p4-61; Pub. Trevor Gore, 2011)によって詳細に説明されています。手順を知るには本を購入するしかないようです。

・3回目で紹介した「ギターのサイドに余分な質量を追加できる機能を備えたギター」はオリジナルギター2で木材種の違いではなく、ローズウッドによる質量の差で確認してみました。後で紹介します。

・ブリッジ質量の「トップの有効質量の増加の約 45%」なので、次回製作のオリジナルギター4ではこの質量をできるだけ減らすことを目指したいと思います。


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Wood for Guitars3 by Trevor Gore [woods]

Wood for Guitars

Trevor Gore

Proc. Mtgs. Acoust. 12, 035001 (2011); doi: 10.1121/1.3610500

View online: https://doi.org/10.1121/1.3610500

Published by the Acoustical Society of America


Gore guitars の Mr.Trevor Gore がギター用の木材の選定について書いています。

4回に分けて紹介していきます。興味の湧いた方は、原文を読んでください。


高級アコースティックギターの設計基準

第1回

1.音響基準

2.構造基準

第2回

3.重要な材料特性

3.1.ブレース用木材

3.2.サウンドボード用木材

第3回

3.3.バックとサイドの木材

第4回

3.4.ネックウッド

3.5.フレットボード

3.6.ブリッジ

で解説していきます。


3.3.バックとサイドの木材

 幅広い種類の木材がギターのバックとサイドに使用されてきました。ビルダーにとって明確な要件は、木材が熱で曲げられることであり、ほとんどの木材が不適格となります。さらにビルダーは、ギターのバックがサウンドボードの調性を増強するための二次振動面として扱われるライブバックを備えたギターを設計するかどうかを選択できます。

 非ライブバックオプションが選択されている場合、バックは硬くて重いままであり、どの木材種が使用されているかは音響的に重要ではありません。

 ライブバックオプションが選択されている場合、バックパネルはトップに対して正しい周波数でピッチングされている必要があり、著者はT(1,1)2 よりもピッチが 4 半音高いバックによるモノポール((T(1,1)3 )共振周波数を推奨します。また、トップと効果的に結合するには、バックのモノポールモビリティが ~7.0x10-3 s/Kg を超えている必要があります。

 非常に密度の高い木材をライブバックに使用する場合、厚さを薄くする必要があります。密度の高い木材はもろくなることがあるため、密度が 550kg/m3 から 800kg/m3 の範囲にある木材が最も扱いやすいと考えています。


「ローズウッド」vs「マホガニー」

ほとんどのリスナーは「ローズウッド」と「マホガニー」の違いを識別することができます。著者には、マホガニーはミッドレンジが少ないのに比べて、ローズウッドギターのミッドレンジが多く、サスティーンが長いという違いが聞こえます。

同様の違いは、フラメンコギター (サイプレスのバックとサイド) とクラシック ギター (ローズウッドのバックとサイド) の間でもいえます。

 では、この違いの根本的な原因は何なのでしょうか?

著者にとって、違いは主にサウンドボードが取り付けられている構造の全体的な質量によるものであり、これは主にバックとサイドに選択された木材種の密度によって支配されています。

 これは、ギターのサイドに余分な質量を追加できる機能を備えたギター(これはオリジナルギター2で木材種の違いではなく、ローズウッドによる質量の差で確認してみました。後で紹介します。を構築することで簡単に実証できます。質量を追加する効果は、T(1,1)2 共鳴の周波数を低下させ 、トップの同相放射領域(振動領域)を増加させます。

 音響的には、低中域が強化され、低質量のマホガニーのバックとサイドの構造が高質量のローズウッドの構造に変わります。バックとサイドは、マホガニーとローズウッドの密度に近似する低密度グループと高密度グループに分類でき、明らかな代替種があります。



左の写真は、175Hz での T(1,1)2 モード (メイン上部) で、サイドマスが追加されていません。 右の写真は同じギターで、高音側の下部のギターの側面に 335gm が追加されています。ノードラインは、特に高音側で外側に移動し、可聴音響の違いが生じます。共振周波数は 171.6Hz に減少しました。

 

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Wood for Guitars2 by Trevor Gore [woods]

Wood for Guitars

Trevor Gore

Proc. Mtgs. Acoust. 12, 035001 (2011); doi: 10.1121/1.3610500

View online: https://doi.org/10.1121/1.3610500

Published by the Acoustical Society of America


Gore guitars の Mr.Trevor Gore がギター用の木材の選定について書いています。

4回に分けて紹介していきます。興味の湧いた方は、原文を読んでください。


高級アコースティックギターの設計基準

第1回

1.音響基準

2.構造基準

第2回

3.重要な材料特性

3.1.ブレース用木材

3.2.サウンドボード用木材

第3回

3.3.バックとサイドの木材

第4回

3.4.ネックウッド

3.5.フレットボード

3.6.ブリッジ

紹介していきます。


3.重要な材料特性

 木材の特性は、最大 2 倍まで変化する可能性があります。その結果、ある種の材料特性と他の種の材料特性には重複があり、音響公差に合わせて設計および構築されている場合、音響への影響がなく、木材種の代替が可能であることを意味します。

 さまざまな材料特性の相対的な重要性は、コンポーネントによって異なります。 たとえば、ネックウッドは強くて硬い必要があります。 フレットボードの木材は、湿度が変化するたびにネック/フレットボードの構造が湿度計にならないように、耐摩耗性が高く、湿度の変化に対して安定している必要があります。

 バックとサイドは伝統的に同じ種類の木材で作られていますが、美的理由以外にそうすべき理由はありません。サイドに使用される種は熱曲げ可能である必要がありますが、これはバックパネルの要件ではありません。

 ただし、ギターの成功は、サウンドボードの慣性を加速する弦の能力と、かなり厳密に定義された帯域内の主要なモノポール共鳴である T(1,1)2 を持つサウンドボード構造に大きく依存します (そのため、 サウンドボードの質量と剛性によって決定されます。その結果、ビルダーは密度が低く、相対的に剛性が高いトップウッドを求める傾向があります。 

 ブリッジは弦の振動をサウンドボードに伝えます。低慣性は高加速 (および良好な音響放射) にとって重要であるため、低慣性ブリッジが有益であると言えます。

 このように、最も重要な材料特性が決定され、各コンポーネントに使用される木材種の選択が決まります。


特に重要な材料特性は次のとおりです。

・ヤング率

・密度

・湿度変動に対する安定性

・熱曲げ性 (木材のコールド クリープに対する感受性とも相関しているようです)

・硬度


3.1.ブレース用木材

 弦の負荷によって適用される曲げモーメントによるサウンドボードのたわみを制限する。スプルースは 100 年以上にわたってギターのブレースに選ばれてきました。スプルースの剛性、強度、密度のパフォーマンスに匹敵する一般的な針葉樹または広葉樹は他にありません。ウエスタンレッドシダーブレースの破断係数 (MOR) は スプルースブレースより小さいため、故障点に非常に近い状態で動作しなければならないので、使用できません。


3.2.サウンドボード用木材

 著者のアプローチは、木材の材料特性に関係なく、サウンドボードの厚さを調整することです。同じ振動応答があります。


 この手順は、Gore と Gilet の本( Contemporary Acoustic Guitar Design and Build, Vol. 1; p4-58 to p4-61; Pub. Trevor Gore, 2011)によって詳細に説明されています。手順を知るには購入するしかないようです。


 その結果、完成した楽器で目標のトップモノポール( T(1,1)2 )周波数を生み出す振動性能がでるように厚さを加工します。これにより、材料特性の違いによる性能のばらつきが押さえられ、異なる種類のトーン ウッドに起因する違いがなくなります。サウンドボード設計に対する著者のアプローチは、一貫した振動特性を持ちながら異なる質量を持つサウンドボードをもたらします。

 好ましいサウンドボードは、低質量のものです。異なる種類のトップ材を使用して得られたトップパネルの質量の範囲を示しています。 ギターが優れた応答性の高い設計である場合、低質量のトップは、弦の励振に対してより積極的に反応します。大量生産されたギターは、このカテゴリーに分類されません。

 サウンドボードが「シャーシ」に取り付けられている場合、特定の楽器の全体的な魅力に寄与する音の残留変動は、ほとんど制御されないままであり、この特性は簡単には測定できず、木材種間の音響的差異の説明は、使用される木材の音のスペクトル吸収と放射の性質によって引き起こされる音の残留変動きよるということです。これは、さまざまな木材がどのように聞こえるかについての以下のかなり一般的なコメントにつながります.

 この残留変動のばらつきは、設計によって決定されます。一部のリスナーにとっては、それが優れたギターと真に優れた楽器の違いになる可能性があります。しかし、忘れてはならないのは、筆者の知る限り、ブラインドリスニング テストでギターの構造に使用されている木材の種類を一貫して特定できる人は誰もいないということです。


シトカスプルース

平均して、このアプリケーションに適した最も硬く、最も強い。また、豊富にあるため、ギター製作に必要な品質が比較的安価である。シトカスプルースは「強い基音」を持っていると主張されている。 時間の経過とともに、スチール弦ギターのコミュニティでは、これは他の木材と比較するための基準になった。


エンゲルマンスプルース

シトカスプルースと比較すると、密度が低く、剛性が低く、硬度が低い。同じ厚さで直接代用すると、ヤング率が低くなり、T(1,1)2 周波数が低いサウンドボードが生成される結果、完成したギターは「より暗く」、場合によっては多少濁った音になる。よく考え抜かれた設計で使用されたエンゲルマン スプルースは、非常に感度が高く、応答性が高く、バランスの取れたギターを生み出す。低質量、低ダンピングの木材の能力により、クラシック ギターのサウンドボードにも非常に適した木材。硬度が低いため、製造中、使用中の両方で、へこみやマーキングが発生しやすい。


ヨーロッパ(ノルウェー、ドイツ)スプルース

 一般的にエンゲルマン スプルースよりも硬く、密度が高く、硬いですが (視覚的によく似ています)、シトカ スプルースほど密度や硬さはない。シトカおよびエンゲルマンとの最も顕著な違いは、クロスグレイン剛性とロンググレイン剛性の比率が高いことです。シトカの比率は約 0.75、エンゲルマンは約 1.0、ヨーロッパは 1.2〜 1.4 です。著者は、これが音響的に重要であるかどうかを確認できませんでした。エンゲルマンとヨーロピアンの音色の違いはほとんどありません。他の「白い」トップ ウッドでは再現できない美しいアイボリーの光沢に仕上がる。


レッドウッド

レッドウッドはその材料特性が非常に変化しやすい。もろく、木目に沿って簡単に裂けますが、スプルースよりも湿度の変化に対して寸法的に安定しています。特徴的に区別できる音色の特徴はありません。


ウエスタンレッドシダー

柔らかく、密度が低く、剛性が比較的低く、ダンピングが非常に低い。強度と剛性が比較的低いにもかかわらず、響板として優れた木材である。 シトカの代わりにエンゲルマン スプルースを使用するように、スプルースと同じ厚さで代用すると、より暗い音になります。色調が「暗い」または「暖かい」という評判が得られました。フィンガーピッキング用に設計されたレッドシダーのトップを備えたスチール弦ギターは、真に応答性が高い。レッドシダーは、クラシック ギターに適しているため、より頻繁に使用されます。成熟したサウンドになるのが早い。スプルース ギターは、サウンドが完全に発達するまでに何年もかかる。 なぜそうなのかは明らかではありません。

 

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wood for guitars1 by Trevor Gore [woods]

Wood for Guitars

Trevor Gore

Proc. Mtgs. Acoust. 12, 035001 (2011); doi: 10.1121/1.3610500

View online: https://doi.org/10.1121/1.3610500

Published by the Acoustical Society of America


Gore guitars のMr.Trevor Goreがギター用の木材の選定について書いています。技術的なデータを背景にして説明しています。4回に分けて紹介していきます。

興味の湧いた方は、原文を読んでください。


高級アコースティックギターの設計基準

第1回

1.音響基準

2.構造基準

第2回

3.重要な材料特性

3.1.ブレース用木材

3.2.サウンドボード用木材

第3回

3.3.バックとサイドの木材

第4回

3.4.ネックウッド

3.5.フレットボード

3.6.ブリッジ

で紹介していきます。


1.音響基準

 楽器の応答性と感度(モノポールモビリティ)を向上させることでギターは良い音が出ます。

 モノポールモビリティは 1/√(Km) として定義されます。K はサウンドボードの等価剛性であり、特定の荷重下でモノポールモードの波腹での単位静的たわみを測定することによって評価されます。m はT(1,1)2 モードの非結合周波数 (サウンド ホールを塞ぐことによって非結合にできる) を測定することによって決定されるサウンドボードの等価質量です。ここで、f=1/2π√(K/m) です。

 500Hz までのギター本体のモード共鳴の最も重要なのは最初の 3 つのモノポール周波数です。各ピークはアドミッタンス(反応しやすさ)ピークを表し、ギターのサウンドボードのピークが高すぎると、その周波数での弦の振動エネルギーが急速に失われ、音はすぐに大きくなりますが持続時間は短くなり、ウルフノートが発生します。さらに、結合された共鳴器 (弦とサウンドボード) の性質により、結合されていない共鳴周波数が自然に存在する場所と比較して、結合された共鳴の周波数は互いに「反発」します。これにより、弦の周波数がボディの共振周波数から離れ、対応する音符が平均律の音階に合わなくなります。周波数シフトは最大 30 セント (半音の約 1/3) になる可能性があり、これははっきりと聞こえるため、正確なピッチの和音でその音が鳴ると不協和音が生じます。

 感度 (モノポールモビリティ) が増加するにつれて、問題は悪化します。ほとんどのビルダーは、モノポールモビリティを抑制したままにすることで問題を回避しています

 レスポンシブ(応答が良い)ギターにウルフノートやイントネーション(共鳴が重なることにより音程がズレること)問題が発生しないようにするためには、

i) ギター本体の主な共振周波数をスケールノート上に配置しない。

ii) T(1,1)1 共鳴周波数と T(1,1,)2 共鳴周波数は通常、ギターでは約 1 オクターブの間隔がありますが、音の 2 つのハーモニクスとして、正確に1オクターブ離して配置しない。

iii) T(1,1)3 共振周波数 (存在する場合) を T(1,1)2 に近付けすぎない。 

 T(1,1)3 共振を導入すると、T(1,1)2 ピークが減衰します。これにより、そのモードの過剰アドミタンスが緩和され、応答曲線にピークが追加され、ゲイン帯域幅積が増加し、より興味深い音になります。

  著者の好みは、T(1,1)3が T(1,1)2 よりも約 4 半音高いピッチになることです。


2.構造基準

 ギターの構造的欠陥の 2 つは、

・ネックの歪み

・サウンドボードの歪み

です。

 サウンドボードの過度の歪みは、必然的にデザインと素材の選択の問題が組み合わさった結果です。著者が推奨する基準は、負荷がかかっているブリッジが無負荷状態に対して 2° の回転を超えないようにすることです。この数値は、音響可動性と構造的完全性との間の合理的な妥協点を生み出します。2° を超える回転は視覚的に過剰に見え、結果として生じる歪みはブリッジの剥がれの前兆となります。 回転が 2° を大幅に下回ると、ギターの応答性が低いと判断される場合、サウンドボードの可動性が不十分になります。

 複合的な問題は、初期の弾性たわみが時間の経過とともに増加し、塑性変形になることです。商用メーカーはこの問題を回避するためにギターを過剰に構築するようになりました。




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カーボンファイバー補強コンポジットトップボードを備えたギターの音響特性 [woods]

Acoustic characteristics of guitars with a top board of carbon ber-reinforced composites


Ono, T. and Okuda, A. (2007). Acoustic characteristics of guitars with a top board

of carbon ber-reinforced composites. Acoustical Science & Technology 28(6), 442

443.


カーボンファイバー補強コンポジットトップボードを備えたギターの音響特性

要約

 ギターのサウンドボード用の木材を人工材料に置き換えるために、炭素繊維(CF)で強化された複合材を開発した。

 ポリウレタンフォームにカーボンファイバー(CF)を木目方向に補強したものと木目方向に加えて垂直方向にもわずかに強化されたもの、計4種の人工材が開発されました。その音響特性をタッピング法で比較し、シトカスプルース(Sp)とほぼ同じ振動特性が得られた。

 このうち、CFが表面層に集中して木目方向のヤング率がスプルース材(Sp)よりも高くなっているもの(L1)の結果が最もよかった。特に良かった木目方向にだけ補強された複合材料のCFの体積分率は、6.3%。

 評価方法はタッピング法で、インパルスハンマーとコンデンサーマイクの出力信号をFFTアナライザーで、各ギターの周波数特性を伝達関数の形で測定した。

 4種の複合材料の伝達関数は、木製(Sp)ギターの伝達関数と似ているが、木目方向に補強したものと木目方向に加えて垂直方向にもわずかに強化されたものは、どちらも高周波特性が悪かった。

 ギターの専門家によって聴覚評価もおこなった。L1が最良であり、L1の25 Hz〜20 kHzの周波数範囲で2秒間の時間による全体的なパワーレベルの変化は、木製(Sp)よりも良い。聴力検査による評価の順序は、伝達関数の測定値からみたものと異なる。理由は、適用された評価基準が異なる為と考えられる。表面層で一方向に強化された複合材料(L1)が単純な構造の最良の代替品である。

ーーーーーーーーーー

人工材によるサウンドボードが岐阜大学とYAMAHAが協力して開発しています。ポリウレタンフォームにカーボンファイバー(CF)を木目(L)方向に補強したものと木目方向に加えて垂直方向(R)にわずかに強化されたもの、計4種の複合材が開発されました。

 このうち、CFが表面層に集中して木目方向のヤング率がスプルース材(Sp)よりも高くなっているものの結果が最もよかったようです。

「伝達関数の測定結果と聴覚評価の結果が合わない」と言っていますが、評価基準の設定により、結論が違ってくるのではないかと思います。聴覚評価が良いギターがどういう伝達関数を持っているかを調べてから、評価基準を決めるべきです。


それから、「表面層で一方向に強化された複合材料(L1)が単純な構造の最良の代替品」と結論付けていますが、異方性の強度を持ったスプルースにあったブレーシングをしているのであれば、当然だと思いますが、前の論文では「R方向を炭素繊維で補強した複合材(CF / UF)LR」が良いと考えていたと思います。この差はなんであるかが気になるところです。

 この論文では、スプルース材をリファレンスとして材料開発をしています。なぜ人工ウッドが必要かというと、バラツキの大きい木材(自然なもの)に代わって、バラツキの少ない材料ができないかという思いで、私は前の記事を書きました。


 行く行くは、必要な特性が自由に制御できるようになるのではないかと思っています。このような研究が進めば、FEM(有限要素法)と組み合わせて、ブレースなしで自由に特性が変えられるトッププレートができる可能性があります。

 

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