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スチール弦アコースティックギターの知覚品質に対するバックウッドの選択の影響 [papers]

Effect of back wood choice on the perceived quality of steel-string acoustic guitars

Samuele Carcagno,1,a) Roger Bucknall,2 Jim Woodhouse,3 Claudia Fritz,4
and Christopher J. Plack1,b)

1 Department of Psychology, Lancaster University, Lancaster, LA1 4YF, United Kingdom
2 Fylde Guitars, Penrith, CA11 9BD, United Kingdom
3 Engineering Department, Cambridge University, Cambridge, CB2 1PZ, United Kingdom
4 Sorbonne Universite, Centre National de la Recherche Scientifique, Institut Jean Le Rond d’Alembert, 75005,
Paris, France
(Received 1 October 2018; revised 2 December 2018; accepted 6 December 2018; published online 27 December 2018)

アコースティックギターの高価で希少なバックウッドが、サウンドと演奏性の品質にどの程度貢献しているかをブラインドテストで調査した結果です。興味のある方は、全文を読んでください。

結論:「私たちの研究の結果は、伝統的に賞賛され、高価で、希少な木材を使用して構築されたバックとサイドを備えたスチール弦アコースティックギターは、安価で入手しやすい木材を使用して構築されたバックとサイドを備えたギターよりもギタリストによって実質的に高く評価されていないことを示しています。ギタリストがブラインド状態でバックとサイドが異なるウッドで作られたギターを区別する能力が低いことは、バックウッドがアコースティックギターのサウンドに与える影響はごくわずかであることを示唆しています。」

 6本のギターを異なるバックウッド(ブラジリアンローズウッド、インディアンローズウッド、マホガニー、メイプル、サペリ、ウォールナット)で、Fylde Guitarsによって作られました。バックとサイド以外の部分は、「Falstaff」という同じデザインと素材の仕様で作り、比較しています。

1.ブラインドテスト
 視覚的な識別を防ぐために溶接機のゴーグルを着用して、薄暗い部屋で52人のギタリスト(プロ18人、セミプロ21人、アマチュア13人)によって与えられた全体的な音質評価(1つのギターでの2分間のフリープレイのあと、全体的なサウンド、演奏性、14の知覚的な質問に答え、5分で評価フェーズを完了)は、6本のギター間で非常に類似していました。ギターを2回評価したギタリストは、セッションごとの評価に一貫性がありませんでした。

2.ABXテスト
31人のギタリストによって実行された2つのギターの比較テスト(ブラインド状態で最初に1つのギター(ギターA)を1分間演奏し、次に別のギター(ギターB)をさらに1分間演奏、その後、2本のギターのうちの1本(ギターX)が再び与えられ、それがギターAかギターBかを決定する)も行われた。その結果、ギタリストがギターを区別できなかった。

3.合成されたギターサウンドのABXテスト
上記の中の7人のギタリストによって、6本のギターのブリッジアドミタンス(インピーダンスの逆数、数値が高いと反応が良くなる)から合成されたギターサウンドのABXテストは、テストされたほとんどのギターペアで識別できていない。

3つのテストから、スチール弦アコースティックギターのバックとサイドに使用されている木材の種類が、そのボディのプロパティといわれる音にほとんど影響を与えないとしています。

このことは、「バックウッドの特性を補って、さまざまなウッドを使用して非常に似たサウンドの楽器を実現できる可能性がある」ことを示唆しています。

「バックウッドのみが異なる2本のギターを区別することは非常に難しい。」という結果ですが、ローズウッドとマホガニーでは音が違うといった私(たち)の一般的な感覚とはズレた結果になっています。

ギター間の差が十分に大きく、バックウッドに限定されない場合(この中でYAMAHAの汎用ギターとのABXテストも行われた)、リスナーはそれらを識別できていますから、「6つのギター間の知覚された違いが非常に小さかったため、プレーヤーがそれをランク付けできなかった」ということです。

音響心理学の背景として、「何々の木がどういう音がするといった情報がある。ギターマガジンやオンラインフォーラムには、プレーヤーの認識や好みに基づいたさまざまな木材の特徴や比較がたくさんあり」、それが私たちの頭に刷り込まれているということがあります。

「ギタリストが数時間、数日、またはおそらく数年のオーダーでより長い期間ギターを演奏できたとしたら、ギターを区別する能力、およびセッション全体での評価の一貫性がより高かった可能性があります。」とも言っています。

まったく外見が同じ(ブラインドテストなので手触りが同じ)で数分間で違いを判断することは無理ということでしょう。

P.S. この内容とはまったく関係ありませんが、Fylde Guitarsは、私と同じ0フレットを採用しています。


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