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トップの材料特性 [woods]

今まで、音を良くする為に、板厚やブレーシングを削り振動モードの周波数特性を調整してきました。

その他に音を良くする為にどういう風にアプローチするかを考えています。


目標とする具体的な値は、何があるのでしょうか?「モノポールモビリティ」もその1つであると思います。具体的な物に落とすと「材料特性を良くする」ということになります。「木材の特性が求めるギターに適しているか、どういう判断基準で見分けるのか?」ということです。


インパルスに対する応答が良い必要があります。モノポールモビリティの記事でも述べたように、

 

1/√Km

が大きい必要があり、完成したサウンドボードの質量が小さいほど、弦の振動力による加速度が大きくなります。よって、壊れない強度は必要ですが、サウンドボードの品質の最も重要な尺度は質量になります。


これを木材の特性に直すとヤング率と密度の間のトレードオフになります。材料の曲がりやすさ(ヤング率)と加速しやすさ(軽さ:密度)を組み合わせたものを音響放射係数といいます。


また、この記事で、楽器の音圧は、等価トップ面積(A)/ 等価質量(mp) に正比例するということが分かっています。


加えて、サウンドボードの木材は、内部減衰が低い木材で構成する必要もあります。これはサスティーンに効いてきます。


木材を考える場合、弾性異方性が大きいということも考慮する必要があります。

木は代表的な異方性材料です。ロング方向とクロス方向で強度が大きく違い、ロング方向の引張力には強いですが、クロス方向は弱いです。この性質を理解しておく必要があります。


木材のロング方向のヤング率は 10~30 GPa(樹幹方向)程度です。これは金属やガラスに近い値です。ヤング率はロング方向(繊維方向)に大きく、直交する放射・接線方向では1/10〜1/20の値になります。損失係数は 6〜15×10^-3 程度で、金属やガラスと比較して一桁ほど大きい値になります。(木材機能研究所:木の響きより)


まとめると、音響特性を良くするには、

1.密度が低い

2.ヤング率が大きい

3.木目に平行な内部摩擦が小さい

4.弾性異方性を考慮

です。


*ヤング率: E=σ/ε

Eはヤング率、σは応力度、εはひずみ 

ヤング率の単位は、MPa=MN/m^2=N/mm^2 応力度の単位はN/mm^2、εの単位は無し(無次元数)




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