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カーボンファイバー補強コンポジットトップボードを備えたギターの音響特性 [woods]

Acoustic characteristics of guitars with a top board of carbon ber-reinforced composites


Ono, T. and Okuda, A. (2007). Acoustic characteristics of guitars with a top board

of carbon ber-reinforced composites. Acoustical Science & Technology 28(6), 442

443.


カーボンファイバー補強コンポジットトップボードを備えたギターの音響特性

要約

 ギターのサウンドボード用の木材を人工材料に置き換えるために、炭素繊維(CF)で強化された複合材を開発した。

 ポリウレタンフォームにカーボンファイバー(CF)を木目方向に補強したものと木目方向に加えて垂直方向にもわずかに強化されたもの、計4種の人工材が開発されました。その音響特性をタッピング法で比較し、シトカスプルース(Sp)とほぼ同じ振動特性が得られた。

 このうち、CFが表面層に集中して木目方向のヤング率がスプルース材(Sp)よりも高くなっているもの(L1)の結果が最もよかった。特に良かった木目方向にだけ補強された複合材料のCFの体積分率は、6.3%。

 評価方法はタッピング法で、インパルスハンマーとコンデンサーマイクの出力信号をFFTアナライザーで、各ギターの周波数特性を伝達関数の形で測定した。

 4種の複合材料の伝達関数は、木製(Sp)ギターの伝達関数と似ているが、木目方向に補強したものと木目方向に加えて垂直方向にもわずかに強化されたものは、どちらも高周波特性が悪かった。

 ギターの専門家によって聴覚評価もおこなった。L1が最良であり、L1の25 Hz〜20 kHzの周波数範囲で2秒間の時間による全体的なパワーレベルの変化は、木製(Sp)よりも良い。聴力検査による評価の順序は、伝達関数の測定値からみたものと異なる。理由は、適用された評価基準が異なる為と考えられる。表面層で一方向に強化された複合材料(L1)が単純な構造の最良の代替品である。

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人工材によるサウンドボードが岐阜大学とYAMAHAが協力して開発しています。ポリウレタンフォームにカーボンファイバー(CF)を木目(L)方向に補強したものと木目方向に加えて垂直方向(R)にわずかに強化されたもの、計4種の複合材が開発されました。

 このうち、CFが表面層に集中して木目方向のヤング率がスプルース材(Sp)よりも高くなっているものの結果が最もよかったようです。

「伝達関数の測定結果と聴覚評価の結果が合わない」と言っていますが、評価基準の設定により、結論が違ってくるのではないかと思います。聴覚評価が良いギターがどういう伝達関数を持っているかを調べてから、評価基準を決めるべきです。


それから、「表面層で一方向に強化された複合材料(L1)が単純な構造の最良の代替品」と結論付けていますが、異方性の強度を持ったスプルースにあったブレーシングをしているのであれば、当然だと思いますが、前の論文では「R方向を炭素繊維で補強した複合材(CF / UF)LR」が良いと考えていたと思います。この差はなんであるかが気になるところです。

 この論文では、スプルース材をリファレンスとして材料開発をしています。なぜ人工ウッドが必要かというと、バラツキの大きい木材(自然なもの)に代わって、バラツキの少ない材料ができないかという思いで、私は前の記事を書きました。


 行く行くは、必要な特性が自由に制御できるようになるのではないかと思っています。このような研究が進めば、FEM(有限要素法)と組み合わせて、ブレースなしで自由に特性が変えられるトッププレートができる可能性があります。

 

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