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FEM SIMULATIONS AND EXPERIMENTAL VALIDATION OF FREQUENCY RESPONSE PREDICTION FOR ACOUSTIC SOUNDBOARDS [theories]

FEM SIMULATIONS AND EXPERIMENTAL VALIDATION OF FREQUENCY RESPONSE PREDICTION FOR ACOUSTIC SOUNDBOARDS


Ludovico Ausiello, Giuliano Nicoletti Portsmouth University

Vol.43.Pt.2.2021 Proceedings of the Institute of Acoustics


音響サウンドボードの周波数応答予測の FEM シミュレーションと実験的検証


この論文では、いくつかの音響サウンドボードのFEMモデル

①最初に長方形プレートの単純化されたケース

典型的な形状 (サウンド ホールも通常のブレーシングパターンもない)の サウンドボード

③Xブレーシングパターンとサウンド ホールを導入したギタートップ

gが作成され、インパクト ハンマー法とクラドニ パターンの視覚化の両方を使用してシミュレーションとの比較をしています。トッププレート(レッドシダー)の直交異方性挙動を一致させるために、モデルフィッティングのプロセスもおこないました。


 アコースティックギターサウンドボードの全体的な周波数スペクトルを予測した結果、FEMモデリングと測定システムが、特別に調整された応答を達成する必要がある場合に、ビルダーのワークフローを最適化するための重要な製造ツールになる可能性があります。

 また、シミュレーションを使用して、さまざまな性能基準を持つ代替ブレーシング パターンを設計する方法を提供し、FEM 解析で使用される正しい材料特性を使用して、設計者はブレーシング パターンを再考し、関心のある他の性能基準を達成する可能性があります。

 最後に新しく設計されたブレーシングパターンは、GoreのFalcateブレーシング、または Gibson が 1920 年代に開発した古い平行ブレーシングと類似しています。

 最後のシミュレーションは、(サドル上で) 強制励起が適用されたブリッジと、1 メートル (軸上) での音圧レベル (SPL) を計算するためのレイリー積分を含むように拡張されました。 これは最終的に、完全なギタービルドの測定値と比較できる最終的な SPL 予測を提供します。今後の研究では、FEM シミュレーションが拡張され、サイドの限られた質量を介して、補強されたサウンドボードのモデルをギター本体のヘルムホルツ共鳴器と完全に結合させるために、より多くの研究を実施する必要があります。


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FEMを使って物理モデルを作り、プレートのモーダル解析、さらにギター全体を解析するという一連の流れは、もう誰でもできる環境にあると思われます。


まったく新しいブレースパターンを考える時などに有効だということは直ぐに分かります(というかこういうものがないと試行錯誤ができない)が、問題は、どこまで正確にモデリングできるかということです。また、著者も述べていますが、今後の課題は「サウンドボードのモデルをギター本体のヘルムホルツ共鳴器と完全に結合する」ことだと思います。あるブレースの位置を少しかえたら全体にどう影響するか等、正確なモデルをどう作れるかによります。かなりの精度が必要になってくると思います。


ちょっと分からなかったのが、著者の設計目標ですが、

・サウンドボード全体の目標は 20% の質量削減

・楽器の空間応答を改善するには、対称的なブレーシングパターンが望ましい

・元の X ブレーシング パターンに可能な限り近いモーダル応答

とありますが、1番目は良いとして、2番目はどうしてそう考えたのでしょう。また、3番目はとりあえずの目標をこうしたのでしょうか。Xブレースを上回る特性を出すにはどうすべきなのか目論見はあるのでしょうか?


現在あるブレーシング構造を上回る性能を出すためにはどうしたらよいかという課題解決の強力なツールにはなると思います。


最後のブレースパターンは、結果的にGore のFalcate ブレーシングに似ています。また、Goreの著書の中にもfalcateブレーシングがでてきますが、どうしてそのようなブレースパターンが生まれたのか、どのように設計していったか(この論文と同じようにFEMで行ったと思いますが)説明がありません。冒頭に「アコースティック ギターのサウンドボードとブレーシングパターンのモデリングと設計に特化した研究の FEM 解析とソフトウェアを使用したプレートのモーダル挙動の予測に関する研究は、Goreの本で収集できる」とありますから、やはりこの本は有益なのでしょう。


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