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Acoustic Function of Sound Hole Design in Musical Instruments [theories]

Acoustic Function of Sound Hole Design in Musical Instruments

by Hadi Tavakoli Nia

Submitted to the Department of Mechanical Engineering

in partial fulfillment of the requirements for the degree of

Master of Science in Mechanical Engineering

at the MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY

June 2010


論文は70ページあり、腰を落ち着けて読まないと挫折します。


一般に言われるヘルムホルツ共鳴の近似式は正確ではないので、より正確に決める方法を開発したという内容です。主にバイオリンやリュートロゼッタについて研究しています。著者は、「このアプローチは、既存のサウンドホールの形状の幾何学的設計の背後にある概念を発見し、ミュージシャン、楽器メーカー、科学者がこの知識を利用して一貫してより良い楽器を設計するのを助けるための出発点になる」といっています。


内容をまとめると、

・ヴァイオリンのような複雑な音孔(f-hole)を持つ楽器の空気共鳴周波数を計算できる一般的な方法を開発

・開口部で空気の流れ分布を分析

・複雑なサウンドホールの幾何学的設計の背後にある潜在的な物理的原理を提示

ということです。


分析が容易な単純な円形および楕円形の形状で複雑なサウンド ホールを近似しますが、共振周波数は必ずしも空隙面積の平方根に比例しません。弦楽器のサウンドホールの空気の流れの大部分は、開口部のエッジ付近の領域を通過し、中央部分が空気共鳴にほとんど寄与せず、外縁が共振周波数に大きな影響を与えるということです。


1.リュートロゼット



リュートロゼットの例

 

空隙領域に基づく空気共鳴周波数f0の円形サウンドホール理論では、

A は空隙の総面積、h は木材の厚さ、V は空洞の容積、c0 は音速。

この式は、開口部の直径よりもはるかに長いネック (ここでは木材の厚さ) の開口部に適している。ネックの長さが小さい場合はかなりの誤差が生じる。この誤差は、h を有効厚さ he (半径 R の円形開口部の he = h + πR/2)で置き換えることによって補正される。リュートロゼットの空隙率は31〜45% だが、共鳴周波数は、模様の空隙の総面積にほとんど依存しない。共振周波数の穴密度への依存性には下限と上限がある(図 A-11参照)。

 内円で塞がれた円形開口部の解析では、共振周波数が中央の閉塞にあまり依存しない 。塞がれた円形が 50% 以下では共振周波数の変化が半音未満で、内径が外径の 80% を超えると、共振周波数の急激な低下が観察される(図 A-12)。空気共鳴曲線の帯域幅は、粘性減衰によるもので、空気流束の大部分は開口部の外縁を通過過するので、壁の面積の関数です。

 別の役割として、サウンドボード構造の一部なのでモーダルエネルギーを伝達するのに役立つ。空気輸送の大部分が外側のリムで行われるという事実は、サウンド ホール内の木材があってもよいことを意味し、これがロゼット リュートの出現につながった可能性がある。


2.ヴァイオリン

ヴァイオリンのサウンドホールは、円形→半円形→c-hole→f-holeへ何世紀にもわたって進化したのは、空隙を少なくできる(トッププレートを広くとることができる)ことや空気共鳴曲線の帯域幅の増加の音響効果が、この進化の潜在的な原動力である。円形の開口部とfホールを比較すると開口面積は半分になっている。f-hole の帯域幅の増加は、f-hole のネック(狭窄部)での高い空気速度に起因する (図 A-21)。高流量により、粘性減衰が大幅に増加する。同じ共振周波数の円形開口部と f ホール開口部を比較すると、帯域幅が 64% 増加する。帯域幅が増加すると、空気共鳴周波数のピークが下がり、共鳴持続時間を短縮し、楽器のスペクトルを均一にする。さらに、ウルフトーンを取り除き、より広範囲の周波数を増幅できる。

 f ホールの長さと比較して薄い響板の場合、共振周波数は f ホールの長さの平方根に比例し、縦横比が固定されていれば、共振周波数は f ホール面積の 4 乗根に比例する。


3.複数のサウンドホール

空気共鳴周波数は、ヴァイオリンファミリーで行われているように、各穴の効果の線形重ね合わせによって近似できることが期待されるが、これは重大なエラーにつながる。各穴を通過する流れは互いに相互作用するためである。同等のサイズで互いに接近しているテオルボの場合、誤差は 4 半音を超えている。穴間の距離が大きくなるにつれて、相互作用の量が減少し、重ね合わせ法でより適切な近似が得られる。

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アコースティックギターのサウンドホールをfホールにするのは、ブレースとの関係でうまくいかないと思います。音量をうまく稼ぐことができないのではないかと思います。セミアコ、フルアコなどは、おそらくバイオリンからヒントを受けてfホールを導入したと思いますが、クラシックギターも現在円形のサウンドホールを持っていることからうまくいかないのでしょう。

 同じ面積の円形開口部と比較して、f ホールの放射電力は 4.5 dB 高くなるとの報告もあります。

 

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