オリジナルギター4 ネック1:製作工程の手順 [original guitar4]
今回もネック製作工程のポイントは、
①トラスロッド、カーボンロッド溝切を最初に行うこと
②ネックを5つのブロック(フレットボード部/ヒール部/ネックブロック嵌合整形/ヘッド繋がり部/ヘッド厚)に分けて、粗削り・中削り・精密削りと3段階で進めていくこと
③ネックの握り部分を平らのままで、最終厚さにして、フレットボードを貼り付けること
です。フレットボードも表面の曲率をつける前に貼り付けます。手順はオリジナルギター2,3と同じで、以下のように進めます。
1.木材への寸法書き
右側面を基準面と決めてヘッド最大幅70mmの線と中心線を引きます。それと垂直にスコヤを使ってナット位置、14フレット位置(ボディ接続位置)、ネックエンド位置、トラスロッドとカーボンロッドの溝の位置を決めます。ヘッド側にも最大幅の位置、ヘッド先端位置を書きます。
一番最初にやることは、右側の基準面と平行にトラスロッド溝を切ることです。ドレメルルーターとルーターベースと自作の溝切治具、6.4Φビットを使って、幅12mmx深さ10mmの溝を深さ方向に2.5mmで4回、幅方向に3回、合計12回に分けて溝を切ります。同様に、カーボンロッド溝を3.2Φビットを使用して深さ9.5mmの溝を深さ方向に2.5mmで4回に分けて行います。
3.外形粗加工
次に幅を75mm(最大幅はヘッドの70mm)ヘッド部分の厚さ19mm、ネック部分の厚さ20mm(出来上がりの最大厚さは17mm)に整形します。
への字タイプのネック材を未加工(厚さ27mm、幅120mm程度)のまま購入していましたが、次からは「この寸法で購入すると「外形粗加工」をしないので工数が減ります。 ヘッド外形とネック幅を粗く合わせます。
4.サブブロック切り出し&接着
ネックについてくるサブブロックは今回使いません。フェンダーライクな取付をするのでその部分に厚さ11mmの板を張り付け、ボディに入る厚みを稼ぎます。
5.外形粗削り
フレットボード部/ヒール部/ネックブロック嵌合整形/ヘッド繋がり部/ヘッド を粗く加工します。
6.外形中削り
フレットボード部/ヒール部/ネックブロック嵌合整形/ヘッド繋がり部/ヘッド を2mm程度の余裕をもって加工します。
7.トラスロッド&補強カーボンロッド埋め込み
エポキシ接着剤を使って、トラスロッド調整ネジ部に接着剤が入り込まないように、尚且つ、接着後マスキングがすぐとれるようにしておきます。今回は調整ネジはサウンドボードより上に出すので、木の蓋はいりません。
8.ネックブロック結合部穴開け(この写真はオリジナルギター3のものですが手順はおなじです。)
①ネックブロックとの嵌合性を確認し、ネックブロックに中心線を引き、ビスの中心に印をつけます。
②ネックと合わせて取り付け角を確認します。
③ネックブロックにΦ2.5ビットで中心穴を開けます。次に、ネックと合わせて、中心をΦ2.5のビットで写します。これでネックとネックブロックとの位置が決まります。
④(ネックブロック側にΦ7.5で取付穴を開けます。)
⑤ネック側にバレルナット用ビスの貫通穴Φ7.5を開けます。
⑥ネック側の中心位置から同じ高さにバレルナットの中心を決め、両側からΦ2.5で中心穴を開けます。
⑦ネック側にバレルナット穴Φ10を両側から貫通させます。
9.外形精密削り
フレットボード部/ヒール部/ネックブロック嵌合整形/ヘッド繋がり部/ヘッド を1mm程度の余裕をもって追いこんで加工します。
10.ヘッド板接着
ヘッド板を平面度を出してから接着します。ヘッドサイズを大きめに接着して、接着後、目標サイズに近づけます。こうすることで、ヘッド板とベースとの間に隙間ができないようになります。
11.フレットボード接着
フレットボード曲率表面加工、ネック握り形状加工をする前に、フィンガーボードとネックベースを接着します。クランプの圧力が均等にかかるので、ネックレストブロックを使わなくても隙間ができません。
12.フレットボード部整形
幅、ヘッド厚み調整 フレットボード接着後、目標寸法に追い込みます。0.5mmの余裕をもって、調整します。
13.フレットボード曲率表面加工
サンディングブロックを使って、表面に曲率をつけていきます。ナット〜フレット~サドルまで、スムーズな曲率を付けます。
14.ヘッド整形とチューナー取り付け
ヘッドを整形して、取付穴を開け、ペグチューナーを仮取り付けします。
15.ネック握り形状調整
最後に、ネック形状を整えます。フレットボードは表面が整えてあるので、傷つけないように。 ここまでで、フレットを打ち込む状態になります。
16.フレット打ち込み
最後にフレットを打ち込みます。今回もフレット端を丸く処理します。こうすることでプレイアビリティが向上します。
という手順で進めます。ネックの製作工程はかなり固まってきて、精度も向上しました。