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ウルフトーン2 [theories]

Google Bardが日本語対応したというニュースがありましたので、「ウルフトーン」について聞いてみました。


クラシックのチェロやバイオリンを「使いこなす」ことを前提にしての答えになっています。


Q1.ウルフトーンについて説明してください。

A1.ウルフトーンとは、楽器の弦の振動と楽器の胴体の固有振動が共鳴したときに発生する、耳障りな倍音です。ウルフトーンは、特にチェロやバイオリンなどの擦弦楽器で発生しやすいです。

ウルフトーンの発生は、楽器の形状、素材、弦の張力など、様々な要因によって影響されます。ウルフトーンを完全に消すことは困難ですが、ウルフトーンの発生する周波数を特定し、それを避けるように演奏することで、ウルフトーンを軽減することができます。

ウルフトーンを軽減する方法には、次のようなものがあります。

・楽器を別の場所に置く

・楽器の弦の張力を調整する

・楽器の胴体に吸音材を貼る

・ウルフトーン・リデューサーを使用する

ウルフトーンリデューサーは、ウルフトーンの発生する周波数の共鳴を抑える装置です。ウルフトーン・リデューサーは、楽器の弦に装着する金属製の棒で、棒の長さと形状がウルフトーンの発生する周波数に合わせて調整されています。ウルフトーン・リデューサーは、楽器店やオンラインで購入することができます。


Q2.何故、ウルフトーンを完全に消すことは困難なのですか?

A2.ウルフトーンを完全に消すことは困難です。なぜなら、ウルフトーンの発生は楽器の形状、素材、弦の張力など、様々な要因によって影響を受けるからです。また、楽器の胴体の固有振動は、楽器の状態によって変化するため、ウルフトーンの発生する周波数を特定し、それを避けることは困難です。

ウルフトーンは、楽器の演奏に悪影響を及ぼす可能性のある問題です。しかし、ウルフトーンを軽減する方法はいくつかあり、ウルフトーンをうまく管理することで、楽器を快適に演奏することができます。


Q3.ギターでウルフトーンを軽減する方法を具体的に教えてください。

A3.ギターでウルフトーンを軽減する方法はいくつかあります。

弦の張力を調整する。弦の張力を緩めると、楽器の胴体が共鳴しにくくなり、ウルフトーンが軽減されます。

楽器を別の場所に置く。楽器を壁や他の固い物体の近くに置くと、楽器の胴体が共鳴しやすくなり、ウルフトーンが発生しやすくなります。楽器を柔らかい布やマットなどの上に置くと、楽器の胴体が共鳴しにくくなり、ウルフトーンが軽減されます。

ウルフトーン・リデューサーを使用する。ウルフトーン・リデューサーは、楽器の弦に装着する金属製の棒で、棒の長さと形状がウルフトーンの発生する周波数に合わせて調整されています。ウルフトーン・リデューサーは、楽器店やオンラインで購入することができます。

弾き方を変える。ウルフトーンが発生する音符を避けて弾く、または弾く強さを変えてみる。


それなりに参考になります。

 

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ウルフトーン1 [theories]

 

弦の基音とギター自身の共振周波数が一致した時に発生する音で、周期的な唸りを伴い、狼の吠え声に似ていることからこういわれます。


ウルフトーンがない楽器はありません。しかし、鳴らないギターは、弱い基音と僅かの倍音しか持ちませんから、ウルフトーンも出にくく、悩まされることもありません。


フレットとフレットの間に共振周波数を持ってくれば、ウルフトーンは弱くなります。


クラシックギターでは、開放弦にぴったり合ってしまう時で、特にミ、レ、ラは実用上困るようです。


いままで3台作ってきましたが、最も気になるのは以下の2つです。

1.ヘルムホルツに6弦の2フレット(F#:92.5Hz)3フレット(G:98Hz)や4フレット(G#:104Hz)があってしまうこと

2.トップモノポールに4弦の3フレット(F:175Hz)や4フレット(F#:185Hz)があってしまうこと


それ以外で困ったことはいまのところありません。


Org.#1 93 173

Org.#2 100 182

Org.#3 104 184


Org.#1はヘルムホルツとはあまり気になりませんが、Org.#3が両方被っています。これに対応していきます。


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純正律と平均律 [theories]

あまり深入りしたくない話題です。平均律と純正律の間のチューニングのギャップは私にとって不快ではなく、さらに合わせようとするとキリがないからです。

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ヘルムホルツ周波数を設定するには・・・・ [theories]

ヘルムホルツ周波数について今までいろいろな記事を書いてきました。全体をまとめておきます。

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Common Luthier Questions, Answered. by Driftwood Guitars [theories]

このYouTubeは、Guitar builder にとっての私の一番好きな面白いページです。

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FEM SIMULATIONS AND EXPERIMENTAL VALIDATION OF FREQUENCY RESPONSE PREDICTION FOR ACOUSTIC SOUNDBOARDS [theories]

FEM SIMULATIONS AND EXPERIMENTAL VALIDATION OF FREQUENCY RESPONSE PREDICTION FOR ACOUSTIC SOUNDBOARDS


Ludovico Ausiello, Giuliano Nicoletti Portsmouth University

Vol.43.Pt.2.2021 Proceedings of the Institute of Acoustics


音響サウンドボードの周波数応答予測の FEM シミュレーションと実験的検証


この論文では、いくつかの音響サウンドボードのFEMモデル

①最初に長方形プレートの単純化されたケース

典型的な形状 (サウンド ホールも通常のブレーシングパターンもない)の サウンドボード

③Xブレーシングパターンとサウンド ホールを導入したギタートップ

gが作成され、インパクト ハンマー法とクラドニ パターンの視覚化の両方を使用してシミュレーションとの比較をしています。トッププレート(レッドシダー)の直交異方性挙動を一致させるために、モデルフィッティングのプロセスもおこないました。


 アコースティックギターサウンドボードの全体的な周波数スペクトルを予測した結果、FEMモデリングと測定システムが、特別に調整された応答を達成する必要がある場合に、ビルダーのワークフローを最適化するための重要な製造ツールになる可能性があります。

 また、シミュレーションを使用して、さまざまな性能基準を持つ代替ブレーシング パターンを設計する方法を提供し、FEM 解析で使用される正しい材料特性を使用して、設計者はブレーシング パターンを再考し、関心のある他の性能基準を達成する可能性があります。

 最後に新しく設計されたブレーシングパターンは、GoreのFalcateブレーシング、または Gibson が 1920 年代に開発した古い平行ブレーシングと類似しています。

 最後のシミュレーションは、(サドル上で) 強制励起が適用されたブリッジと、1 メートル (軸上) での音圧レベル (SPL) を計算するためのレイリー積分を含むように拡張されました。 これは最終的に、完全なギタービルドの測定値と比較できる最終的な SPL 予測を提供します。今後の研究では、FEM シミュレーションが拡張され、サイドの限られた質量を介して、補強されたサウンドボードのモデルをギター本体のヘルムホルツ共鳴器と完全に結合させるために、より多くの研究を実施する必要があります。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

FEMを使って物理モデルを作り、プレートのモーダル解析、さらにギター全体を解析するという一連の流れは、もう誰でもできる環境にあると思われます。


まったく新しいブレースパターンを考える時などに有効だということは直ぐに分かります(というかこういうものがないと試行錯誤ができない)が、問題は、どこまで正確にモデリングできるかということです。また、著者も述べていますが、今後の課題は「サウンドボードのモデルをギター本体のヘルムホルツ共鳴器と完全に結合する」ことだと思います。あるブレースの位置を少しかえたら全体にどう影響するか等、正確なモデルをどう作れるかによります。かなりの精度が必要になってくると思います。


ちょっと分からなかったのが、著者の設計目標ですが、

・サウンドボード全体の目標は 20% の質量削減

・楽器の空間応答を改善するには、対称的なブレーシングパターンが望ましい

・元の X ブレーシング パターンに可能な限り近いモーダル応答

とありますが、1番目は良いとして、2番目はどうしてそう考えたのでしょう。また、3番目はとりあえずの目標をこうしたのでしょうか。Xブレースを上回る特性を出すにはどうすべきなのか目論見はあるのでしょうか?


現在あるブレーシング構造を上回る性能を出すためにはどうしたらよいかという課題解決の強力なツールにはなると思います。


最後のブレースパターンは、結果的にGore のFalcate ブレーシングに似ています。また、Goreの著書の中にもfalcateブレーシングがでてきますが、どうしてそのようなブレースパターンが生まれたのか、どのように設計していったか(この論文と同じようにFEMで行ったと思いますが)説明がありません。冒頭に「アコースティック ギターのサウンドボードとブレーシングパターンのモデリングと設計に特化した研究の FEM 解析とソフトウェアを使用したプレートのモーダル挙動の予測に関する研究は、Goreの本で収集できる」とありますから、やはりこの本は有益なのでしょう。


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Model-based evidence of the dominance of the guitar brace design over material and climatic variability for dynamic behaviors [theories]

Model-based evidence of the dominance of the guitar brace design over material and climatic variability for dynamic behaviors

Romain Viala,Vincent Placet,Scott Cogan

Article in Applied Acoustics · July 2021 DOI: 10.1016/j.apacoust.2021.108275

 

動的挙動の材料および気候変動に対するギターブレースデザインの優位性のモデルベースの証明

 

概要

アコースティックギターのブレーシングパターンのデザインの選択は、楽器の特定の音につながると一般的に言われています。ただし、材料特性や気候条件の変動による強い不確実性が存在する場合、サウンドボードのダイナミクスの堅牢性はまだ調査されていません。この研究では、物理学に基づくモデルを使用して3種類のブレースパターンを研究し、物質的および気候的不確実性を説明するために確率論的分析を実行します。ブレース設計の選択は、少なくとも低周波数領域では、強い空中不確実性が存在する場合でも、別の設計と積み重ねることができない動的な動作につながることが示されています。この評価は、ギターのサウンドボードのダイナミクスが関係する場合、ギターのブレースのデザインの選択が材料のばらつきよりも大きな影響を与えるという推測を裏付けています。より一般的には、これらの結果は、ギターの理解、設計、製造における詳細な物理ベースのモデルの有用性を示しています。

 

内容

 一般に、高品質の木材と特定の種が、望ましいギターサウンドを実現するための重要な要素であると考えられていますが、木材の入手がますます困難になることを考えると、別のアプローチを考える必要が出てきます。

 アコースティックギターのダイナミクスは、分析的および実験的アプローチだけでなく、木材の変動性、変更の不可逆性、およびそのようなアプローチの時間とコストを克服するため、シミュレーションによる物理ベースモデルを使用した数値的手法に基づいて、多くの研究の対象となっています。

 物理ベースのモデルを使用して、材料特性(スプルースのトーンウッドとブレース)と気候条件(温度と湿度)の両方の不確実性を考慮に入れて、多数のサウンドボード特性のモーダル動作を調査します。

 クラシックナイロン弦ギター、スチール弦アコースティックギター、セルマー・マカフェリギターの3種のギターブレースパターン(サウンドボード3mm、サウンドホール、ロゼット、ブリッジ、カッタウェイは同じで、ブレースが接着されている反対側のみが異なる)について、スプルースの変動性を表す材料特性パラメーターにより、ブリッジアドミタンスが評価された。ブレース構成ごとに 1000 回の計算が実行され、対象の特徴が抽出された。

 結果は、響板とブレースの縦方向の比弾性係数と密度が、固定された響板の固有振動数に主な影響を与え、次に相対湿度が影響します。(20 ~2500 Hzの周波数帯域でサウンドボードブレースパターンの各ファミリーの最初の10 モードの材料パラメータの変動性を考慮した響板の固有振動数の標準偏差は ± 5.5 % でした。)

 材料のばらつき、相対湿度が、固有周波数、固有モード形状、ブリッジ アドミタンス形状などのギタ  ーの動的特性に影響を与えるが、ブレースパターンが素材や気候変動よりもサウンドボードの動的特徴に大きな影響を与えることを示しています。

 ブレースの形状の設計上の選択がサウンドボードのダイナミクスに支配的な影響を及ぼし、木材の密度と剛性の変化が二次的な影響であるということです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

題名の日本語訳がこれでいいのか疑問です。何を言っているか分からないので。

 2000年代に入ってから、分析的および実験的アプローチだけでなく、シミュレーションによる物理ベースモデルを使用した数値的手法が活発になってきています。

 物理ベースモデルのシミュレーションの具体的な中身が理解できていないので、この結果についてはそうかもしれないということしか言えませんが、「ブレース形状の決定が素材や気候変動よりもサウンドボードの動的特徴に大きな影響を与える」ということは予想できることであり、それを確認することよりも、この論文の中でも述べられていますが「主な観点は、各ブレースの幾何学的パラメーターを 1 つずつ変更することによって、特定のブレースパターンごとに小さな違いを研究すること」によって「ギターのサウンドボードをさらに調整し、周波数帯域で所望の応答に到達する」ことだと思います。

 そうはいっても、こういうことができる環境が一般的になってくると、ビルダーやメーカー毎に差が出てくるのだろうということです。当然、大きな企業は新しいことを開発するために導入していることでしょう。大事なことは「確からしいモデルをどう作るか」ということだと思います。


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Acoustic Function of Sound Hole Design in Musical Instruments [theories]

Acoustic Function of Sound Hole Design in Musical Instruments

by Hadi Tavakoli Nia

Submitted to the Department of Mechanical Engineering

in partial fulfillment of the requirements for the degree of

Master of Science in Mechanical Engineering

at the MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY

June 2010


論文は70ページあり、腰を落ち着けて読まないと挫折します。


一般に言われるヘルムホルツ共鳴の近似式は正確ではないので、より正確に決める方法を開発したという内容です。主にバイオリンやリュートロゼッタについて研究しています。著者は、「このアプローチは、既存のサウンドホールの形状の幾何学的設計の背後にある概念を発見し、ミュージシャン、楽器メーカー、科学者がこの知識を利用して一貫してより良い楽器を設計するのを助けるための出発点になる」といっています。


内容をまとめると、

・ヴァイオリンのような複雑な音孔(f-hole)を持つ楽器の空気共鳴周波数を計算できる一般的な方法を開発

・開口部で空気の流れ分布を分析

・複雑なサウンドホールの幾何学的設計の背後にある潜在的な物理的原理を提示

ということです。


分析が容易な単純な円形および楕円形の形状で複雑なサウンド ホールを近似しますが、共振周波数は必ずしも空隙面積の平方根に比例しません。弦楽器のサウンドホールの空気の流れの大部分は、開口部のエッジ付近の領域を通過し、中央部分が空気共鳴にほとんど寄与せず、外縁が共振周波数に大きな影響を与えるということです。


1.リュートロゼット



リュートロゼットの例

 

空隙領域に基づく空気共鳴周波数f0の円形サウンドホール理論では、

A は空隙の総面積、h は木材の厚さ、V は空洞の容積、c0 は音速。

この式は、開口部の直径よりもはるかに長いネック (ここでは木材の厚さ) の開口部に適している。ネックの長さが小さい場合はかなりの誤差が生じる。この誤差は、h を有効厚さ he (半径 R の円形開口部の he = h + πR/2)で置き換えることによって補正される。リュートロゼットの空隙率は31〜45% だが、共鳴周波数は、模様の空隙の総面積にほとんど依存しない。共振周波数の穴密度への依存性には下限と上限がある(図 A-11参照)。

 内円で塞がれた円形開口部の解析では、共振周波数が中央の閉塞にあまり依存しない 。塞がれた円形が 50% 以下では共振周波数の変化が半音未満で、内径が外径の 80% を超えると、共振周波数の急激な低下が観察される(図 A-12)。空気共鳴曲線の帯域幅は、粘性減衰によるもので、空気流束の大部分は開口部の外縁を通過過するので、壁の面積の関数です。

 別の役割として、サウンドボード構造の一部なのでモーダルエネルギーを伝達するのに役立つ。空気輸送の大部分が外側のリムで行われるという事実は、サウンド ホール内の木材があってもよいことを意味し、これがロゼット リュートの出現につながった可能性がある。


2.ヴァイオリン

ヴァイオリンのサウンドホールは、円形→半円形→c-hole→f-holeへ何世紀にもわたって進化したのは、空隙を少なくできる(トッププレートを広くとることができる)ことや空気共鳴曲線の帯域幅の増加の音響効果が、この進化の潜在的な原動力である。円形の開口部とfホールを比較すると開口面積は半分になっている。f-hole の帯域幅の増加は、f-hole のネック(狭窄部)での高い空気速度に起因する (図 A-21)。高流量により、粘性減衰が大幅に増加する。同じ共振周波数の円形開口部と f ホール開口部を比較すると、帯域幅が 64% 増加する。帯域幅が増加すると、空気共鳴周波数のピークが下がり、共鳴持続時間を短縮し、楽器のスペクトルを均一にする。さらに、ウルフトーンを取り除き、より広範囲の周波数を増幅できる。

 f ホールの長さと比較して薄い響板の場合、共振周波数は f ホールの長さの平方根に比例し、縦横比が固定されていれば、共振周波数は f ホール面積の 4 乗根に比例する。


3.複数のサウンドホール

空気共鳴周波数は、ヴァイオリンファミリーで行われているように、各穴の効果の線形重ね合わせによって近似できることが期待されるが、これは重大なエラーにつながる。各穴を通過する流れは互いに相互作用するためである。同等のサイズで互いに接近しているテオルボの場合、誤差は 4 半音を超えている。穴間の距離が大きくなるにつれて、相互作用の量が減少し、重ね合わせ法でより適切な近似が得られる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アコースティックギターのサウンドホールをfホールにするのは、ブレースとの関係でうまくいかないと思います。音量をうまく稼ぐことができないのではないかと思います。セミアコ、フルアコなどは、おそらくバイオリンからヒントを受けてfホールを導入したと思いますが、クラシックギターも現在円形のサウンドホールを持っていることからうまくいかないのでしょう。

 同じ面積の円形開口部と比較して、f ホールの放射電力は 4.5 dB 高くなるとの報告もあります。

 

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Coupled modes of the resonance box of the guitar [theories]

Coupled modes of the resonance box of the guitar

M. J. Elejabarrieta

Departamento de Fı´sica Aplicada II, Universidad del Paı´s Vasco, Apdo. 644-48080 Bilbao, Spain

A. Ezcurra

Departamento de Fı´sica, Universidad Pública de Navarra, 31006 Pamplona, Spain

C. Santamarı´a

Departamento de Fı´sica Aplicada II, Universidad del Paı´s Vasco, Apdo. 644-48080 Bilbao, Spain

J. Acoust. Soc. Am. 111 (5), Pt. 1, May 2002(Received 1 November 2001; revised 5 February 2002; accepted 16 February 2002)


概要

ギターの弦の振動は、ブリッジとトップを励起し、エアキャビティ、リブ(サイド)、バックにエネルギーを伝達し、振動板とサウンドホールから音として放射されます。それを有限要素法とモーダル解析手法によって、数値解析しています。ギターボックスは、木の構造体と内部の流体(空気)でできているので、振動解析をギターの構造と流体で実行して、全体像を示しています。

 モーダル解析手法は、ギターの各部分が楽器全体に与える影響を直接調べることはできず、有限要素法による数値計算と一緒に適用する必要があります。

手順として、

1.トッププレートとバックプレートの挙動から始めて、

2.共振ボックス(トッププレート、バックサイド、リブ(サイド)、エッジ、ブロック)の計算された低周波モードと固有振動数(ネックは含まれていません)から空気がない状態で、ボックス全体の動作を取得する。境界条件は、サウンドボードとバックの相互作用が内部の空気を通してのみ明確になるようにサイドを固定している。

3.キャビティ内の空気が考慮され、結合され流体と構造の間の相互作用の定量化

で進めています。

モーダル解析手法は、同等の境界条件の下で、この共振ボックスの固有振動数、振動モード、および品質係数を決定するために適用されています。最後に、数値結果と実験結果を比較しています。

 職人によって設計および構築された一般的なクラシックギターを数値モデル化しています。メッシュの解像度により、最大600Hzの応答が保証されます。粘性効果は考慮されていません。


1.サウンドボードとバックプレート

単純にサポートされた境界条件でサウンドボードとバックプレートを評価している。

2.真空のボックス

コンポーネント(サウンドボードとバックプレート)間に構造的または音響的な伝達方法がないため(実際には、空気とサイドによる音の伝達があるが、サイドを固定しているので)

、結合は存在しません。

3.ボックス内の空気 ー空気と木造構造の結合モードのダイナミクスー

空洞内の空気は振動パターンに影響を及ぼします。したがって、サウンドボードとバックが特定の周波数で一緒に移動します。これまで、トッププレートとバックプレートの両方が独立して振動していました。


サウンドボード、空気、およびバックの間の結合により、ボックスモードが生じます。空気の影響がより低い周波数でより大きくなります。空気がない場合と比較すると、対応する構造モードの固有振動数が減少していることがわかります。これは、流体が追加の質量として機能することを意味します。構造モードと音響モードの間の相互作用は、構造モードの振動特性に依存しています。リブ(サイド)に課せられた境界条件がそれらの動きを防ぎ、サウンドボードとバックの両方のモードが、空洞の流体(空気)を介した構造コンポーネントの結合によって発生します。有限要素モデルの予測は、低周波数範囲でのギターボックスの実験的ダイナミクスとかなり一致しています。


感想

2002年にここまでできているのですから、CAEが発達した20年後の現在では、ある程度、誰でもが使えるレベルなんでしょう。個人で扱うには、金銭的に大変だと思います。空気と木造構造の結合というところが、ポイントです。2023年現在、有名メーカーはこのような技術を取り入れて新しいブレースパターンを開発しているのでしょう。どの程度まで進んでいるか、継続的に調べてみたいと思います。



*モーダル解析は、各種構造物に各周波数の振動を与えた場合の状態をシミュレーションする解析法。現在FFTアナライザと加振器、振動ピックアップを組み合わせることにより求めた各構造物上の伝達特性からパソコンなどにより、モーダル解析が簡単に行える。


**FEM(有限要素法)は微分方程式を、近似的に解くための数値解析方法

複雑な形状・性質を持つ物体を小部分(メッシュ)に分割することで近似し、全体の挙動を予測しようとするもので、 構造力学や流体力学などの様々な分野で使用される。

どの形状がより設計的に最適であるか判断するための解析法。


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Simple model for low-frequency guitar function まとめ [theories]

Simple model for low-frequency guitar function まとめ

Gore+Giletの本の参考文献に載っていた論文の基本的な技術解説を6回にわたって載せてきました。内容をもう一度、まとめると、

1.ギターの共振周波数の最も低い周波数は結合していて、その二乗和が非結合システムの共振周波数(ヘルムホルツ周波数とトップモノポール周波数)の二乗和に等しい。より平たく言えば、非結合のヘルムホルツ周波数(fh)とトッププレート基本共振周波数(fp)は、2つが結合するとお互いに反発し、fhはより低くf-に、fpはより高くf+に追いやられます。これを式で表すと以下のようになります。

2.提案されたギター機能の低周波簡易モデルを、2マス3スプリングシステム(2DOF)と関連付けて振動工学的にとらえ、理解した。

3.最初の2 つの共振周波数の測定値から導き出すことで、低周波領域のギター機能を定量的に記述できる(実験結果と定量的に一致する)ことを示した。ギターの低域成分(〜500Hz)が特に重要で、材料を含めたボディの構造をいかにうまく作るかで良いギターかどうかが分かれる。

 この研究論文で扱われている最初の2つの共振周波数 f- とf+(結合されたホルムヘルツ周波数とトップモノポール周波数)は、出力の40%を占める。

 この2つの共振周波数の結合を解析することにより、ギターの振る舞いが物理学の助けを借りて、定量化された。

各章のトピックス

Ⅰ章

・トッププレートに質量負荷することによって共振周波数が低下する。

・トッププレート共振周波数を下げると両方の共振がシフトする。

・ヘルムホルツ共鳴周波数は、サウンドホールに合う直径で高さ3〜4cmの円筒形に作られた「カラー」を配置することで低下する。

・この低下により、トッププレート移動度の反共振周波数が変わるので、これはヘルムホルツ共鳴を表している。

・弦からのトッププレート振動により、ボディキャビティの体積が周期的にわずかに変化し、空気が周期的に圧縮され、圧力変動により、サウンドホールの(目に見えない)エアピストンが励起され、トッププレート共振とヘルムホルツ共鳴の間に結合が確立する。

・サウンドホールが塞がれると、ヘルムホルツ共鳴は消え、純粋な非結合トッププレート共鳴だけが残る(バックが完全な剛体の場合)。

・結合システムの共振周波数の二乗和が非結合システムの共振周波数の二乗和に等しい。(平たく言えば、非結合のヘルムホルツ周波数(fh)とトッププレート基本共振周波数(fp)は、2つが結合するとお互いに反発し、fhはf-に、fpはf+に追いやられる。)

Ⅱ章

・バックプレートは剛性が高く、反射エンクロージャーとして機能している。

・ボディ容積の変化で生じるキャビティ圧力の変化が他方の発振器に力を生じさせることで、トッププレート共振とヘルムホルツ共鳴の間の結合を説明できる。

・結合の結果、f-はfhより小さく、f+はfpより大きくなります。物理的には、f-で、エアピストンがトッププレートの裏側と同相で移動し、f+で逆位相で移動する。

・ギターからの放射音圧の遠方界を計算するために単純な音源からの音響放射で近似する。

・プレート速度(移動度)と音圧の両方が、f-とf+で2つの共振を示していて、トッププレート移動度については、最初の2つの共振の間に反共振がある。これは図1の実験結果と一致している。

・トッププレートとエアピストンは、ヘルムホルツ共鳴より下では逆位相になる。

・この共鳴より上では、同じ位相である。

・周波数範囲全体にわたって、音圧に対する2つの発振器の寄与率は、トッププレートがとして、サウンドホールが として変化し、サウンドホールは低周波で大きな貢献をし、トッププレートは高周波で支配的である。

ギターの応答を決定するすべてのパラメーターは、実験データから得られる。

Ⅲ章

・ヘルムホルツ周波数 fhで式(8)を正規化したた変数:結合周波数比 fph/fh 

で評価できる。

・すべての楽器の周波数特性で f-、fh、および f+ が観測される。

・合計 83 セットのデータ ポイントから検討した楽器の結合周波数比 fph’が約 0.7 から 0.9 まで変化する。

カップリングはトッププレートの周波数が高くなるにつれて増加する。

2 つの発振器間の結合が強いと、結果として得られる共振周波数が元の周波数から大きくずれている。

・4本のクラシックギターで測定したトッププレート等価質量の値は60〜110g 

・楽器の音圧は、A/mp に正比例する。

・結合周波数 fph は、周波数 fa と同様に、比率 A^2/mp のサイズとともに増加する。よって、優れた楽器は大きなカップリングによって特徴付けられる。

・高く評価されている楽器のヘルムホルツ周波数は 92〜102 Hz の範囲だった。

・周波数に対するトッププレート移動度と音圧レベルの変化に関する実験データは、理論上の点とほぼ一致している(移動度と音圧レベル (SPL) の絶対値が計算されている)。

・調査したすべてのギターで、約10回の実験結果と理論上の予測との一致が得られた。

・理論と実験を比較するのに最適な周波数領域は、fh と f+ の間で、それ以外ではずれが生じる。

・トッププレート移動度の位相は、理論で予測されるように、f- と fh の間で 180° 変化する。この変化は、トッププレートとヘルムホルツ共鳴の間の結合の存在を示す最も直接的な実験的証拠である。

・品質係数 Q の決定は、音圧スペクトルの共振の 3 dB 限界を測定することによって表せられるが、ここでは最初の 2 つの共振間の最小値に対するピーク音圧レベルの測定に基づく方法を使用した。

・9 本のギターが評価され、より良いギターは、Q-の値が最も高かった。

・f+ と f- での減衰係数は、式 (10) によると、fp と fa での減衰係数の線形結合で表せる。

・観測された損失の約 3 分の 1 から 4 分の 1 が放射損失に起因する可能性がある。

・共鳴間の最小音圧レベルは、等価ピストン面積と等価質量の比の実験数値を評価するために使用できる[式(14)を参照]。この比率は、楽器からの低周波としての出力に正比例する。

原理的には薄いトッププレートを使用することで高いレシオを得ることができるが、これは高音域のレスポンスを決定するより高いトッププレートモードの周波数を低下させるので、A/mp 比の 8.4 から 11.2 は、おそらく実用的な妥協点と見なすことができる。

Ⅳ章

・単純なモデルが、トッププレート移動度と 音圧(SPL) の低周波特性を予測できた。そして、ギターの最初の 2 つの共振(f-とf+)は、相互作用するヘルムホルツ共鳴(fh)とトッププレート(fp)との結果である。

・この論文のモデルは、ボトム(バック)は完全な反射体と仮定しているが、普通はバックは振動するので、3 つの結合発振器のシステムを検討する必要がある。振動するボトム(バック)プレートは、f-とf+を下げ、f+を2つの共振に分割する。

・ボトム(バック)プレートの効果は、図 1 の音圧(SPL) スペクトルで 230〜240 Hz 付近の追加の共振として見られる。

・2つのカップリングは、バイオリンでも見られ、結合周波数係数はギターよりも小さい。これはバイオリンの音量を減少させるサウンドポストの存在によるものと考えられる。

====================

最初にこの論文を読んだときは、目からウロコでした。今まで運動方程式や振動工学は学んできましたが、ギターの音響特性とこれほど深く結びついているとは思いませんでした。最初のモデルは振動工学の基本である2DOFモデルなので、論文で紹介されている運動方程式(1a と1b)を導くというより、よく知られた2DOFモデルを解くことギターのパラメータを結びつけることから始めました。紹介したこのページが大変役に立ちました。

 実際にギター製作を始めると様々な疑問がわいてきます。その時、この論文で述べられている1つ1つが何を言っているのかがさらに理解できてきます。この内容を知っているかいないかで理解の仕方がまるで違ってくると思います。

 ということで、さらにいろいろなギター作りに役に立ちそうな論文を紹介していきたいと思います。

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