強制振動テストで音が変わる要因 [tests]
強制振動テスト(トップに100時間)では、
・サスティーンが伸びる。
・デッドポイント(ウルフトーン)が軽減される。
・全体の音量が上がる。
ことが確認されました。
この論文にあるように、「木材に振動が加えられるとその履歴でtanδ(損失係数)が低減」します。tanδは材料の力学物性に対する粘性を弾性で割ったもので、「振動により木材の内部構造が変わり、粘性がなくなる」と考えられています。また、この現象は振動が加えられなくなると少し戻る傾向にあります。
粘性がなくなるので減衰が弱まり、サスティーンが伸びるようになります。
tanδ(=η:損失係数=Δf/fo(Δfは3dB下がった共振周波数帯域幅))が低減すると、共振周波数foは変化しないとすると、共振周波数帯域幅Δfが狭くなります。今回の例でいえば、F-F#/Gb-G(175〜185〜196Hz)(トップモノポール周波数は189Hz)辺りの共振が激しく、弦を弾くと直ぐに基音が落ちてしまうのが、低減されました。但し、共振周波数が弦の周波数(ノート)にぴったりとあっていると改善されません。共振周波数がノートに重なっているのに改善されたように聴こえるのは、その倍音、3倍音のサスティーンが伸びたからです。また、ミッシングファンダメンタルの影響もあるかもしれません。
通常は共振帯域幅は10Hz程度なので、弦のノートの真ん中(180か190Hz)に共振周波数を設定しますが、今回は帯域幅が広い(20Hz以上)ので、低減されましたが完全になくなったわけではありません(175Hzはなくなったが185、196は残ってる)。完全になくすためにはさらに対策が必要です。
さらに、損失係数が小さくなることで振幅も増え、音量が上がることになります。