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ビンテージ処理5 [woods]

前回の続きです。自然の老化やトリファイド処理で木材は、一時的な物性変化を起こし、構成成分の物理エージングによると考えられるという論文があります。

前回と同じ論文の作者らで、古材および熱処理材の吸湿性および振動特性という論文があり、「古材の低い吸湿性、すなわち高い寸法安定性は、ヘミセルロースの分解や消失によって説明されている。ヘミセルロースは木材構成成分の中で最も吸湿性が高いため、その消失は吸湿性の低下をもたらす。また、ヘミセルロースは結晶繊維と非晶マトリックス物質の結合に寄与しているため、老化に伴うヘミセルロースの分解は木材の弾力性や靭性を低下させる。」

「老化や熱処理に伴う木材物性の変化は、ヘミセルロースの分解を始めとする不可逆的な構造変化(化学変化)によって説明されてきた。しかし最近、古材や熱処理材の物性がその後の吸湿履歴によって変化することがわかってきた。このことは、老化や熱処理に伴う変化の一部が、吸湿しただけで回復するような一時的なものであることを示唆している。」

「中湿度(約60% HRH)で熱処理した時の.... 熱処理によってE′/ρ(≒強度) は増加し、tanδ(≒粘性) は低下する。これは響板材としての性能が向上したことを示している。しかし、そこには吸湿によって回復するような一時的な効果が含まれている。」

老化や熱処理による一時的な物性変化は、木材構成成分の物理エージングによるものと考えられるが、これまでの研究は不可逆的な化学変化に注目したものが多く、現象の可逆性や物理エージングの可能性を考慮に入れた研究はまだ少ない。物理エージングは「弾き込み」による振動特性の改善や「枯らし(シーズニング)」による材質安定化など、様々な現象に関与していると考えられる。」

といっています。

 
不可逆的な変化にしろ、可逆的な変化にしろ、ある程度の低湿化で保管すればそれは保たれるので、問題はないのですが。
可逆性だとすると接着剤もタイトボンドでもいいような気がしますが、どうするかを考えなければなりません。
「弾き込み」で振動特性が変わるというのは、オリジナルギター2の強制振動テストで経験しています。「強制振動テストをやると気付くことですが、常に振動を与えているので、テスト最中や直後は木が軟化しているように感じます。これは恒常的な変化ではなく、テストをやめると完全ではないですが、元に戻っていきます。」と言っています。

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