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フレット両端球状処理 [woodwork]

フレット両端の仕上がりが気になっていました。プレイアビリティの問題です。

「半球状仕上げ」というのを自分のオリジナルギターでもやってみようかと思って、他のビルダーやリペアの方がどのように仕上げているかというのを調べました。某楽器店では、この費用が7万円位するそうです。


ポイントは、以下の3つです。


①エッジの形状

Ryosuke Kobayashi Guitarsのブログを見ると、「左手にネックが吸い付くようだ」といわれているようです。ここまで丸めなくても演奏上問題が無いと思いますが、最後は見た目が良いということかもしれません。


②フレット両端の角度について

普通の処理では、フレット両端を斜めに角度をつけて仕上げます。角度が浅過ぎると実質的なフレット幅が狭くなり、弦落ちし易くなってしまうので、オリジナルギター1と2では、斜めレベラーを自作して角度を60°にしました。このフレット両端の角度というのは、ネックの一部なのでグリップ側と滑らかにつながる必要があります。よって、リペアの場合は、グリップ側の形状にうまく繋がるようにフレット側を削る必要がありますが、新規の場合は、この角度は自由にすることができます。半球状に丸めるには、フレット両端の角度を垂直に削り、フレット端処理だけで丸く完成させる必要があります。


③フレット端の飛び出し

冬になり、フレットボードが乾燥するとフレット自体が飛び出してくるので、0.5mm位フレットボードの中に入れる必要があります。フレット両端を半円形状にするためには、端を少し中にいれて、角度を垂直にし、フレット端の下側を斜めに整える必要がありそうです。また、海外のビルダーは電動のやすりを使っている動画を見かけます。日本では手動で、ひたすら磨くというのが多いようです。


両端の足を切り、やすりで磨きます。これはMUSTの作業ではありませんが、前述したように、冬になるとフレットワイヤーがフレットボードの両端から出てきて、これが微妙に手にふれてザラザラとした違和感になります。これを防ぐためには、打ち込む前にフレットワイヤーの両端の足を2mm位落としておく必要があります。普通のフレットニッパー(喰い切り)と金属ヤスリでもできますが、フレットタングニッパーがあると便利です。これは1万円以上するので、購入するか迷っています。


テストで、「半球状仕上げ」を試しました。フレット端をフレットニッパー(喰い切り)でカットすると、このような形状になります。足が完全にカットできずに残ります。

これをヤスリで削ります。

これをダミーフレットボードに打ち込み、両端をヤスリで斜め45°にして、先端を丸く仕上げます。

HOSCO Luthiers Tools フレットクラウンファイル R=2mm TL-FF2で角を落とし、さらにヤスリ、サンドペーパーを使って仕上げました。

半球処理をしないでフレットボードに打ち込み、その後で丸くするという手順では、どうしてもフレットボード表面にキズが付きます。また、傷がつくのを避けようとすると作業性が悪く、工数がかかります。これを20本(x2倍)行う気にはなれません。半球処理をフレットを打ち込む前に行い、それを打ち込む工程を考えました。この手順では、打ち込む前にフレットの長さをかなり厳密に決めておく必要があります。


0.フレット両端の足を4mm位カットしておきます。

1.フレットニッパ(喰い切り)でネック幅ピッタリに長さを合わせる。フレットごとに少しづつ長さが違うので、カットは上下方向から切り、左右にエッジが出るようにして揃えます。

2.フレット作業台を作り、両脇を斜めに削るために、フレット端をヤスリで左右先端を斜めに8回づつ削ります。

3.フレットクラウンファイルで先端を上から8回、左右から各5回ヤスリ、先端を丸める。先端がとがりすぎている場合は、先端をヤスリで落とします。

4.粗く球形になったら、#400のサンドペーパーで丸く滑らかに形を整えます。(#400では光沢がなくなります。)

5.ここで、0フレットから19本のフレットを揃えます。フレット長が徐々に長くなっているか全体をチェックし、長いものは微調して揃えます。

6.さらに、1フレット分(つまり0フレットを1フレットに)フレット幅が長くなる方向にずらします。こうすることで、フレットがフレット幅より短くできます。

7.最後に0フレットを作ります。

8.長さがそろったところで、フレット端の仕上げをします。拡大鏡で端をみて、#400のサンドペーパーでキズや丸みが足らないところを修正します。

9.球形ができたら、フレット端の仕上げを行います。スチールウールで先端を磨きます。

以上の手順で打ち込む前に長さと先端処理を終わらせます。

フレットボードにはこんな感じで載っています。フレットボードとフレットの隙間は、後でエボニーのサンディング時の粉とタイトボンドで作ったパテで埋めます。

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