トップ材料特性測定 [woods]
手持ちのトッププレートをビンテージ処理を行うにあたり、処理前後での特性変化を比較しようと考えています。
ビンテージ処理とは、
1.自然乾燥して、水分を安定させる。
2.無酸素状態で数時間、熱(120〜200℃程度)をかける。
(この段階で、変性して、安定する。)
3.もう一度、湿度をかけ、水分を安定させる。
その条件を変えて、処理をどの程度まで行うかということだと考えると、
①水分やいろいろな成分変化で軽くなる(密度が下がる)。
②乾燥する過程で、剛性が上がることも下がることもある。
③通常の環境下では、粘度は下がる。
④すべての細胞が結晶化するわけではないので、処理条件によっては、高湿度環境に置くと戻ってしまうこともある。よって、確実に言えることは粘度が下がって、重さが軽くなるのではないかと思います。
木材を含めた物質の振動は、密度(比重)、剛性(ヤング率)、粘性(損失係数)で決まります。軽く・柔らかいほど、音響抵抗が小さく、外部からの力で振動しやすくなります。軽く・硬いほど、伝搬速度が高く、内部で音が伝わりやすくなります。損失係数が大きいほど振動が減衰しやすく、音が収まりやすくなります。
(木材機能研究所:木の響きより)
1.密度
密度は重さ/体積なので、外形寸法と重さを測れば分かります。処理後では水分が無くなり、成分が変化すると考えられるので、密度は低くなります。体積は変わらないとして、重さを測れば処理前後の変化が分かります。
2.ヤング率
剛性をみる指標としてはヤング率がありますが、この記事では、強度が数%上がるといっていますし、こちらの記事では、強度が10%失われると言っています。これがどうなれば良いのかよく分かりません。
Gore&Giletの本のトーンウッドの厚みを決定する中で、ヤング率を求める式が載っています。ポアソン比積は種類によって異なりますが、平均値0.02を使用すると
ロング方向は、
ρは密度、Llは長さ、fLは測定される第一共振周波数、hは厚さ
クロス方向は、
ρは密度、Lcは長さ、fcは測定される第一共振周波数、hは厚さ
という式で求まります。要はタップトーンの周波数特性を測定するということで求まります。密度とヤング率は既に測定済みです。
3.損失係数 tanδ
木材は粘弾性があり、tanδ=粘性/弾性なので、粘性が少なくなれば振動の減衰が少なくなり、サスティーンが長くなります。タッピングのスペクトラムや周波数毎のサスティーンがわかるように、タッピングの音を録音しておくことにします。直接音の変化が分かります。
とりあえずこの3つを測定しておこうと考えています。
と書いていたら、記事の中に論文(共鳴響板材の音響特性の改善に関するさまざまな熱改質技術の比較)が見つかりました。後で紹介します。
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