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各ブレースの機能 [voicing]

2台の製作を完了したところで、ブレーシングの機能を整理しておきます。

1.トップブレース
トップブレース.JPG
1.1.トランスバースブレース(横梁)
音に関連するブレーシング材というよりも、構造体と考えるべきでしょう。有効振動域を決める横梁です。これをどうにかして音を良くしようとは考えません。ネックの元起きが起きないようにここで支えることを考えています。
 これより上は非振動領域なので、カッタウェイが可能になるのでしょう。
 ロングダイポールは、ここからテールエンドまでの距離に関係します。振動領域にサウンドホールがあり、よく考えるとこれは非効率で、サウンドホールはここにはないほうが良い(別の位置の方が良い)と考えられます。サウンドホール周辺補強は振動域を稼ぐための補強なのでしょう。
 クラシックギターはサウンドホールを上下に挟んで2本のトランスバースブレースがあります。サウンドホールは有効振動域に入りません。

1.2.Xブレース
スチール弦ギターのために考え出されました(1843年にマーチン社が考案したという記事がありますが、ラーソンブラザーズが特許を出したとも言われます。スチール弦ができる前に、ガット弦の音量を上げるために作られたようです)。ブリッジとトップ裏のブリッジプレートと合わせて、強度を保つ構造材と音を調整するブレーシング材の機能を持っていると考えられます。
 基本的にトップモノポール共振周波数はこれらの剛性で決まります。剛性を下げるとクロスダイポールも下がりますが、ロングダイポールは少ししか下がりません(あくまでも2本の経験より)。
 構造的に角度を広げればクロス方向の剛性があがり、狭めれば下がるのでしょう。まだ、実際にはやっていないので実感はありません。

1.3.トーンブレース
Xブレースの最も振動する領域にある斜めに走る非対称の2本のバーです。クロスダイポールとロングダイポールをコントロールするといわれています。この位置を変えたことがないので、何とも言えません。非対称にする意味はどこにあるのでしょうか。高音域と低音域を分けようとしているのでしょうか。正確なところは良く分かっていません。
 左右対称なトーンブレースもいくつか紹介されています。ダブルXや平行に走るバーなど。こちらの方が考えやすい気もします。次号機から少し変化させてみようと考えています。

1.4.フィンガーブレース
Xブレースの左右の領域に広がる4本の補強材です。トップ左右端の割れ防止の補強材としか考えていませんでしたが、クロストリポールに関連しているといえます。場所的にも当たり前ですが、できるだけ薄くしてクロストリポールを出すようにしていきたいと考えています。もちろん、全体のバランスを優先します。

2.バックブレース

4ラダー.JPG
3ラダー+ラジアルブレース.JPG

バックの役割として、よく言われているのは、反射器(リフレクター)か拡散器(ディフューザー)かということです。私は、ライブバック(=ディフューザー)になるように考えていますが、トップよりも少し(4半音)高いタップトーンを持つようにします。
 バックブレースのパターンにより、音色の違いがでるのでしょうか? よく分かっていません。

オリジナルギターとしては、1台目は4ラダー、2台目は Gore&Giletの本 に載っていた3ラダー+ラジアルブレース(50°方向に4つの10㎝のブレースを付ける)にしました。小さな振動領域に分割されるのを防ぐ効果があると解説されていますが、確認できていません。バックの共振周波数を組立後調整できる構造になっています。

しかし、どちらもライブバックとしての機能を持つことができるので、どちらがいいとは言い切れません。

バックのボイシングとしては、周波数特性を見ながら、各ブレースを徐々に薄くしていきます。バック単板のタッピング音のサスティーンが”ボッボッ”から”ボーンボーン”となるようにします。その時の最大共振周波数が240Hzになるようにしています。

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