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Simple model for low-frequency guitar function 1 [theories]

Simple model for low-frequency guitar function 1

Ove Christensen

Institute of Medical Physiology A, University of Copenhagen

Bo B. Vistisen

The Acoustics Laboratory, Technical University of Denmark

(Received 8 November 1979;accepted for publication 25 May 1980)

 この論文は、Gore+Giletの本の参考文献として載っていたものです。原文はPDFファイルです。この論文の理解を深めるために、本文と基本的な技術解説を含め、何回かにわたってエッセンスを紹介していきます。

 この論文には、ギター製作をする上で理解しておくべき非常に重要な内容が詰まっていますので、ぜひ全文を読んで理解してください。難しい数式がでてきますが、無理であれば飛ばして文章だけ読んでください。

 著作権上、図をコピーして載せることはできないので、図は原文を参照してください。


まず読む前にこの記事の内容を理解してください。出来れば、文末の参考ページも読んでおくと理解がしやすいと思います。


この論文の要約

1.ギター機能のシンプルな低周波モデルを提案し、最初の2つの共振周波数の測定値から導き出し、低周波領域のギター機能を定量的に記述できる(実験結果と定量的に数デシベル以内で一致)ことを示した。

2.音圧とトッププレート移動度の周波数特性の最初の2つの共振は、ヘルムホルツ共鳴と基本トッププレートモードが結合していることに起因する。


イントロダクション

 ギターの2つの低共振周波数は、およそ100Hzと200Hzで発生します。これらの共振は、多少周波数が異なりますが、すべてのギターに見られます。

 この論文では、2つの最初の共振周波数の範囲でのギターの音圧とトッププレート移動度(機械的アドミタンス、インピーダンスの逆数)*2 の周波数応答を検討します。ヘルムホルツ共鳴とトップ プレートの基本共振との間の結合を調査し、これらの共振とギターの最初の 2 つの共振との関係を示します。「空気」と「メインウッド」という2つの最も低い共鳴は重要です。


Ⅰ章 実験的な検証

 ギターの2つの最低共振周波数をf-とf+として、ヘルムホルツ周波数fhと基本的なトッププレート共振周波数fpとの関係を実験的に調べています。

 加振器をブリッジの中央に置いて、60〜300 Hzの範囲で掃引し、マイクをトッププレートの2m上に配置して、加速度計は、ブリッジ中央の加振点のできるだけ近くに置きます。ヘルムホルツ共振周波数かトッププレート共振周波数のいずれかを選択的に変化させて、これらが最初の2つの共振(f-,f+)に与える影響を調べます。


①トッププレートの共振周波数は、加振点の隣に置かれた重り(20〜50 g)をトッププレートに質量負荷にすることによって変化(低下)します。

②サウンドホールに合う直径で高さ3〜4cmの円筒形に作られた「カラー」を配置することによって、サウンドホールの直径や空洞の体積を変更することなく、サウンドホール内の空気の体積の有効長が増加するので、ヘルムホルツ共鳴周波数は低下します。


図1は、トッププレートの応答周波数とヘルムホルツ周波数の特定の変化が、トッププレートの移動度レベル(左パネル)と音圧レベル(右パネル)に及ぼす影響を示しています。


1.最初のグラフは、通常状態 

2.負荷39.3gをつけたトッププレート

3.サウンドホールにカラーが挿入された時

4.サウンドホールが木製ディスクで塞がれた時


・図1(原文を参照)の1から2の変化を見ると、質量負荷(39.3g)によってトッププレート共振周波数が低下しています。また、最初の共振は、より低い周波数へ2.5Hzシフトしました。トッププレート共振周波数を下げると両方の共振がシフトするということは、1番目と2番目の共振が結合しているということを表しています。


・ヘルムホルツ周波数を下げると図1の1から3に変化しました。最初の共振に最も顕著に現れますが、2番目の共振にも大きな周波数シフトが起こっています。反共振周波数は、ヘルムホルツ共振が変更されたときに変わり、トッププレートの共振が変更されたときに変わりません。この反共振がヘルムホルツ共鳴を表していることになります。ギターでは、弦からのトッププレートの振動により、ボディキャビティの体積が周期的にわずかに変化し、空気が周期的に圧縮され、圧力変動により、サウンドホールの(目に見えない)エアピストンが励起され、トッププレート共振とヘルムホルツ共鳴の間に結合が確立されます。


・サウンドホールが塞がれている場合、図1の4のようにヘルムホルツ共鳴は消え、純粋な非結合トッププレート共振fpが見られます。


ヘルムホルツ共鳴とトッププレート共振との間で相互作用が発生し、以下の関係が成り立ちます。

「結合システムの共振周波数の二乗和が非結合システムの共振周波数の二乗和に等しい。」


この式の意味するところは、一般に最初の共振周波数(f-)をヘルムホルツ周波数といっていますが、真のヘルムホルツ周波数(fh)は、もっと高い周波数にあります。一方、2番目の共振周波数(f+)はトップモノポール周波数といわれますが、トッププレートの基本共振周波数(fp)はもっと低い周波数になります。


つまり、この2つの共振は結合しており、2つの周波数が近くにあると反発しあうということを言っています。


次回は、ニュートン運動方程式に基づいて、このシステムの簡易モデルを提示します。そのモデルのすべてのパラメータは実験的に決定されます。このモデルは、その単純さにもかかわらず、音圧レベルとトッププレート移動度レベルの周波数による変動を正しく記述しています。


参考ページ


1.音とは何か

音とは何かということについて、基礎的な内容が書かれています。

「空気が振動」することにより、我々の耳に伝わります。ここでは、ギターの内部で「空気が振動」することで、共振が結合されます。


・音圧の可聴レベルは、最小の可聴音圧値 2×10^-5 Paから2×10^2 Paと表されるように7桁に及びます。音の強弱、音圧レベル(SPL)をdBで表します。

・点音源について、音は「距離が 2 倍になると6 dB 減衰」します。

・音が伝搬していく過程で、空気中に空気とは異質の物があるとき、それによって音の伝わり方が変化します。ほとんどの音のエネルギーははね返されてしまいます。これが音の「反射」です。一方、音の作用によって、ごくわずかですが板自身も振動します。この振動が入射面と反対側の面の空気に圧力変化を生じることで、音の再放射が行われます。これが音の「透過」です。

・人が音として知覚できる周波数の範囲はおおむね 20~20,000 Hz。

・一般に、材料の厚さ、もしくは周波数が 2 倍になれば、透過損失は 5~6 dB 増加します。


2.機械的インピーダンス(逆数をモビリティ:移動度

モビリティは、システムをどれだけ簡単に駆動できるかを示す尺度。機械インピーダンスは、加振力と応答速度の比である。一般に複素数の値をとり、大きさ(振幅)と位相で表現される。周波数応答関数の一種であり、振動数の関数で表現されることが多い。


3.ヘルムホルツ共振器



4.音圧(SPL) 

音圧レベルとは、実効値の音圧をp[Pa]とした場合、以下の式で表されるものです。

なお、p0=20μPa(パスカル)です。p0=20μPaは、1kHzの音において、人によってはギリギリ聞こえる非常に小さな音圧です。音圧レベルの単位は、dB SPLです。SPLは、Sound Pressure Levelの略です。

 

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