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オリジナルギター2:ボイシング1 [voicing]

ボイシングとは、ギターのトップやバックをタッピングして聞こえてくる音からその特性を判断して、より良い音に持っていく一連の工程をいいます。

ボイシングを「音作り」と考えれば、ギター製作のほぼすべての工程で行われます。

・(板の段階)
ボイシング1
0.トップ材・バック材の選定
1.トップ・バックの厚みを決定する。
2.トップ(ギター外形加工後、ロゼッタ、サウンドホール加工後)
3.バック(ギター外形加工後)
4.ブレース付きトップ(ブレースラフカット接着後)
5.ブレース付きバック(ブレースラフカット接着後)
・(モールドに入れ最終結果を予測)
6.サイドをモールドに入れ、クランプでトップを押さえつけてタッピングする。
7.サイドをモールドに入れ、クランプでバックを押さえつけてタッピングする。
8.トップ+バック+サイド in モールドで最終結果を予測
・(ボディ形状での最終結果)
9.トップとサイドを接着後、モールドから出して行う。
10.トップ接着、バック、モールド最終結果を予測
11.バック接着、ブリッジなし
12.ブリッジ仮付け+ネック装着
13.塗装後
14.ブリッジ接着、弦張り後
の各段階に分けて説明していきます。

ボイシングスケジュール1.jpg

0.トップ材・バック材の選定
「音作り」という意味では、木材の購入段階から始まっています。
・軽い音を響かせたいならば、シトカスプルース+アフリカンマホガニー(オリジナルギター1)
・ハリのある伸びがある重厚な音ならば、エンゲルマンスプルース+インディアンローズウッド(オリジナルギター2)
の組み合わせを選んでいます。

購入するときには、厚み指定をトップは2.8mm バックのローズウッドも2.8mmに指定して注文しました。

1.トップ・バックの厚みを決定する。
トップ材とバック材が入手できたら、次は板の厚みをどうするかということです。
ブックマッチ前に、長方形にして「Gore&Giletの方法」により、厚みを決定します。
この方法を知りたい方はGore&Giletの本を買ってください。この方法でなければ、トップの厚み決定は次の段階です。
トップの目標は、2.8mmでそのままでした。購入時に薄くし過ぎました。バックの目標は2.3mmでした。トップは3.0mm バックは2.5mmくらいが後工程が楽です。

ブックマッチした後は、タッピング周波数が低くなり過ぎて、判断できないので、何もしません(マイクでも音がうまく拾えません)。

2.トップ(ギター外形加工、ロゼッタ、サウンドホール加工後)
ギターの形に外形加工するとタッピング周波数も50Hz程度に戻ってくるので、この段階でサウンドホールの上を指で挟んで吊り、ブリッジがつく部分をタッピングします。

Tom Millerは、ロング(木目:縦)方向の振動周波数が52 Hzになるまで薄くするといっています。

Mark Blanchardは、クラドニパターンで評価しています。ロング(木目:縦)方向とクロス(木目に垂直:横)方向の剛性、すなわち周波数を比較しています。クラドニパターンに興味のある人は、Mark BlanchardのChladni Presentationを購入してください。クラドニパターンは、スピーカーで一定周波数を平板に与えて振動させ、粉を撒いて静止部(節)に粉を集め、共振を可視化する方法です。

今回、クラドニは断念しました。(オリジナルギター1のボイシング参照)

但し、トップをタッピングすることにより、いくつかの周波数が測定できるので、参考レベルですが、Mark Blanchardの周波数との比較をしてみました。結果だけ言いますと、Mark Blanchardの方が、板単体では少し硬くできているようです。

さて、タッピングの一番低い、ロング(木目:縦)方向の振動周波数を測定すると、54.4Hzでした。これは、52Hzとほぼ一致しています。Tom Millerは、Gore&Giletの信奉者のようですから、結果が似たようになるのは当たり前かもしれません。

トップ(ギター外形、ロゼッタ、サウンドホール加工後).jpg

ここではトップの厚さはそのままにしました。

3.バック(ギター外形加工後)
TomMillerは、バックのロング(木目:縦)方向の振動周波数が43Hzになるまで薄くすると言っています。

Mark Blanchard は、クラドニパターンで評価しています。ロング(木目:縦)方向と木目に垂直方向(クロス方向)の剛性、すなわち周波数を比較しています。また、バックの正しい厚さを決定するために使用するモード周波数の範囲を決めています。

バック(ギター外形加工後).jpg
さて、測定値ですが、アッパーボウトの中心と端の間を持つと45Hzでした。バックもTomMillerと同じような結果になりました。また、バックの一番強い強度の周波数は、Mark Blanchardより低く、やや薄くできていることもわかりました。

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